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■【寄稿】国内外の各分野で活躍されている獣医師(25)物産アニマルヘルス株式会社 寒川彰久先生:後編

2026-03-17 17:06 掲載 | 前の記事 | 次の記事

写真9 大日本製薬株式会社で沖縄県の美ら海水族館の研究をお手伝いした頃の小松忠人先生(右側)(写真提供:沖縄美ら島財団)

写真10・写真11

写真12 iPS細胞からできた心筋シート

記事提供:動物医療発明研究会

インタビュアー・構成・執筆 伊藤 隆

動物医療発明研究会 広報部長/獣医師

(取材日:2025年7月2日)

前編はこちら

Q13.寒川先生が今後チャレンジしたいことは何でしょうか?

顕在化していないニーズの発見です。

100年売れる製品の開発です。

スカイダイビングです。

Q14.コンパニオンアニマル事業で今後力を入れていく領域は何処でしょうか?

  • 既に当社が強みを持つ領域(循環器疾患/皮膚科疾患)の製品拡充
  • 今後、さらに市場が拡充する可能性の高い領域(悪性腫瘍対応)の新規参入
  • 医療系でも新規品上市が増加しつつある領域(抗体医薬/核酸医薬)の検討
  • 自社の再生医療等製品の使用機会が見込める領域(全身性慢性炎症疾患など)

Q15.他社動物薬メーカーとコ・プロモーションしていますか?会社名と商品名をお知らせください。また、コ・プロモーションをされた理由を教えてください。

現在はネスレのピュリナ。当社が他社の承認取得品を販売することは珍しいことではなく、依頼者が当社の営業力を高く評価されてのこと、と考えています。

Q16.日本の開業医の獣医師に何かメッセージがありますでしょうか?

日頃の診療業務の中で、弊社の製品/サービスをご愛用してくださっていることに深謝いたします。季刊発行の「Vet i」の編集後記で、時々の事象に合わせた先生方への感謝の言葉を重ねておりますので、お手元にあれば再読いただけると幸甚に存じます。

あえて、そこに記載されていないことをお伝えいたします。手前味噌な話題で恐縮ですが、昨今の犬の長寿命化の大きな要因の一つとして、弊社が1987年に販売開始したイベルメクチン製剤(カルドメック)の普及があると思います。それまでの毎日ないし隔日投与の予防薬から月1回の利便性向上に加え、それ以上にフィラリア予防の重要性を啓発した結果、この病気で早逝する犬は激減しました。さらに、ヒルズ社の特別療法食の普及に努めたことも、さらなる犬/猫の長寿命化につながったと考えています。

以上はすばらしいことと思う反面、犬/猫の高齢期疾患の増加を招くことになりました。既に循環器疾患や運動器疾患については、関係各所社の努力によって多くの対応策が図られ、所定の成果が得られているように感じます。

私たちが実現した家庭動物の長寿命化が幸福ではなく、ヒトと動物の不幸にならぬように、動物の「健康寿命の延長」「QOLの向上」実現のための先生方の不断の貢献を祈念し、そこに弊社も微力ながら協業させていただきたいと考えるところです。

Q17.今後御社に就職を希望する獣医学生に向けて先輩としてメッセージやアドバイスをお願いいたします。

弊社では、研究開発から学術、営業、さらには検査系まで、幅広い職種で獣医師の免許を有する社員が働いています。さまざまな分野で獣医学の専門性を生かす機会があり、さらに職務経験によって入社後のキャリアアップも望めます。

目前の1頭1頭の犬や猫(あるいは、畜産動物)を助けるために獣医師になることを希望された方が多いと思います。それも大切なことですが、有用な薬等の開発/製造/販売によって、世界の動物を数万~上限なしに救うことができるかもしれない製薬業を一緒に体験してみませんか。

Q18.動物用医薬品業界への貢献や獣医の学生に対して具体的に実施されていることを教えてください。

国内で開催される獣医系の学会/研究会/講演会等の機会を捉えて、企業展示や専門セミナーの実施や協賛、さらに自社製品の上市等の際には独自の企画を積極的に行っています。その結果として、動物用医薬品業界の発展、獣医師/学生の皆様に有用な情報の提供を実現しています。

開業獣医師向けの当社発刊の冊子「Vet-i」を年3回、各約1万部発刊しています。内容はKOLの連載や、時事的な情報の特集を掲載していて、一定の評価を頂いています。多くの獣医学生様や看護学生様にも読んでいただけるように、メルマガの配信サービスも行っています。

編集後記

物産アニマルヘルス株式会社は、数少ない内資系メーカーとしての歴史と伝統を持つ会社です。

また、月一回のフィラリア予防、犬猫用療法食の啓発、犬慢性心不全の治療薬、歯科領域の製品、非ステロイド系抗炎症剤、水産注射ワクチン(旧田辺製薬からの継承)、日本で初めての犬の抗てんかん薬、再生医療等製品の国内初となる製品の上市を実現している、開発力のある会社であることは特筆すべき点だと思います。

更に1990年代後半に、沖縄県の美ら海水族館からの申し出で、オキゴンドウにおけるオルビフロキサシン血漿中濃度を測定する共同研究を実施しています。その結果は2002年12月動物園水族館雑誌にも報告されています(「ミナミバンドウイルカとオキゴンドウにおける抗菌剤オルビフロキサシンの血中動態について」)。

当時、同館の獣医師である植田啓一先生から「海獣類に参考となる薬物データがないので、ぜひ一緒に調べたい」との熱いオファーをいただき、上司を説得して実現したとのことですので、とても素晴らしいことだと思いました。

その当時、大日本製薬株式会社で研究をお手伝いした獣医師の1人が、今回インタビューに参加していただきました物産アニマルヘルスの開発部長の小松忠人先生です(写真9)。

インタビューの中で「思い出に残る出来事として、薬剤耐性(AMR)や抗菌薬の慎重使用が現在のように厳しく求められていない時代背景でしたが、犬・猫用の医薬品であるビクタスSS錠なので、オキゴンドウに投与するためには数十錠を餌の魚の腹に詰めて投薬されたり、尾びれから採血することなどを聞き(実際に見学もできました!)、今も忘れられない思い出となっています」という言葉は、大変印象深かったです。

最近の話題では、フィンランドオリオン社の画期的な商品であるクレボルの国内販売権を獲得した点です。この商品は既にヨーロッパや米国で発売されており、点眼タイプの催吐剤であるユニークな製品です。

海外事業の展開についても、東アジアの複数国においては、コンパニオンアニマル用の製品導出を準備中であり、市場の大きいブラジルにおいても三井物産が出資するオーロフィーノ社との協業を模索中とのことです。今後の活躍を期待しております。

物産アニマルヘルス株式会社への取材後、大阪で万国博覧会が開催しておりましたので見学してまいりました(写真10)。万国博覧会では特に印象深かったのは、大阪ヘルスケアパビリオンの中のiPS細胞からできた心筋シートでした(写真11、写真12)。

動物医療発明研究会は、会員を募集しています。入会を希望される方は、「動物医療発明研究会」まで。

シリーズ「国内外の各分野で活躍されている獣医師」