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■【寄稿】国内外の各分野で活躍されている獣医師(23) 在カナダ日本国大使館一等書記官 大里早貴先生

2026-02-10 13:52 掲載 | 前の記事 | 次の記事

写真1 左側から大里早貴先生とカナダ外務省日本担当者

写真2 在カナダ日本国大使館があるオタワにて館員たちと

写真3・写真4・写真5

記事提供:動物医療発明研究会

インタビュアー・構成・執筆 伊藤 隆

動物医療発明研究会 広報部長/獣医師

国内外の各分野で活躍されている獣医師の先生方の取材記事を掲載しています。日本獣医学生協会(JAVS)とのコラボレーションで獣医大学を訪ねた際に、学生さんから厚生労働省に勤務されている獣医師の仕事について知りたいとの要望があり、厚生労働省獣医系技官にインタビューを行いました。第1回目は厚生労働省 健康・生活衛生局 食品監視安全課 乳肉安全係 高橋真央先生のインタビュー記事を、第2回目は厚生労働省 健康・生活衛生局 食品監視安全課 課長補佐の川越匡洋先生と厚生労働省 健康・生活衛生局 食品監視安全課 食品健康被害情報管理室 係長 井谷 寛先生のインタビュー記事を掲載しました。

今回はその第3回目として海外で活躍されている厚生労働省の獣医系技官で、2025年1月からカナダに赴任している、在カナダ日本国大使館一等書記官の大里早貴先生(写真1)にお話をうかがいました。

(取材日:2025年7月31日)

Q1.在カナダ日本国大使館での大里先生の現在の業務を教えてください。

経済班の一員として働いており、主に医療や福祉、労働を含む厚生労働分野を担当しています。

日々、それらを含む報道内容の確認を行い、カナダで何が起きているのかを把握することが基本的な仕事の一つです。重要な情報があれば、東京へ報告しています。また、必要に応じてカナダ保健省や移民・難民・市民権省などのカウンターパート(窓口担当者)と連絡を取り、担当分野に関する情報収集や意見交換を行っています。

経済班は財務省、経済産業省、国土交通省、農林水産省、文部科学省といった他省庁からの出向者が多く、基本的に出身省庁に関係する案件を担当しています。

経済班の人数は、記載した省庁から各1名と外務省1名の7名と班長(外務省)の合計8名体制です。

Q2.厚生労働省獣医系技官として入庁されてから、在カナダ日本国大使館に駐在するまでのご経歴を教えてください。

神戸検疫所(輸入食品監視業務)→厚生労働省(容器包装基準業務※現在は消費者庁に業務が移管されています)→内閣府食品安全委員会事務局→北海道(自治体への出向)→北海道厚生局→成田空港検疫所(港湾衛生業務)→内閣府科学技術・イノベーション推進事務局→厚生労働省(食中毒関連業務)→現職

Q3.在カナダ日本国大使館への赴任はご自身が希望されたのでしょうか?

具体的に希望を出していたわけではないですが、自分がこれまで全く知らなかった世界を見ることができ、とても貴重な経験だと思っています。

Q4.今までの業務での経験の中で、うれしかったこと残念だったことを教えてください。

具体的に何か一つを選ぶのは難しいですが、自分が全く知らなかった分野の仕事を経験できることが大きな魅力だと感じます。

例えば、昨年まで在籍した内閣府科学技術・イノベーション推進事務局では、医療DXや生成AI、生命倫理といったこれまで関わることのなかった課題に携わり、他省庁や民間からの出向者、専門家の先生方など自分とは違う背景を持つ方々と一緒に働く機会がありました。わからないことばかりで大変なこともありましたが、とても充実していたと思います。

残念だったこととしては、転勤が多かったので、その土地に慣れて面白いと思った頃にまた転勤になったことなどがあります。

Q5.赴任されてまだ短い期間だと思いますが、在カナダ日本国大使館で外交官として大変だったことはありますか?また、獣医師ということで在カナダ日本国大使館で仕事をする上で役立つことはありましたでしょうか?

一番には英語でとても苦労しています。海外で生活すること自体が初めてなので、仕事だけでなく日常生活でも言葉や文化の違いに戸惑うことも多くありました。

ただ、現地職員を含め、館員の方々が親身になってくれるのでとても心強かったです。

また今後、在カナダ日本国大使館において獣医師としての背景をいかせる仕事にも関わっていきたいと思います(食肉検査に関することなど)。

Q6.つい最近カナダで開催されましたG7サミットでは在カナダ日本国大使館の一員としてどのように関われましたでしょうか?

当館からはほぼ全員がサミット会場に近いカルガリー近郊の拠点へ派遣され、いくつかの班に分かれて対応に当たりました。

私は、日本の報道各社からの取材者が円滑に取材を行えるよう、支援を行う業務に当たりました。

準備を含め怒濤の二週間でしたが、他公館や外務本省からも大勢の応援出張者が来ており、初めて見る業務だったのでとても新鮮に感じました。

Q7.外交官にとって必要な資質は何だと思われますか?

着任して半年なので、まだわからないところが大きいですが、大使や先輩職員を見ていると、政治状況を含めた仕事に関わる分野以外にも、文化や歴史、民族や音楽、食べ物や若者の流行まで、相手国のことをもっと知りたいという強い姿勢を感じます。

いろいろなことに興味を持ち、相手を知りたいと思うことが最初に必要なことかと思います。

Q8.カナダ大使館において自分はどのようなところで貢献されていると思いますか?またどんなことで今後貢献したいと思いますか?

主に厚生労働分野での情報収集やカウンターパートとの調整を担当していますが、今後、それらに役立つような新たなネットワークを作っていけたらと思います。

Q9.カナダに在住されている日本人獣医師とコンタクトされていますか?

現時点ではコンタクトを取ったことはありません。

着任後、生活の立ち上げとG7サミットに時間を割いてきたので、今後いろいろなネットワークを作っていけたらと思います。

Q10.カナダの魅力について教えてください。どこかへ出かけられましたか?

同僚たちと車でカナダ東部の都市を巡りました。景色も食べ物も野鳥も初めて見るものが多く、独特で綺麗でとても楽しかったです。

また、G7サミットの出張で訪れたカルガリー近郊は、カナディアンロッキーを近くに見ることができ、雄大な自然に感動しました(写真3、写真4、写真5)。

Q11.オフの日はどのような過ごし方をされていますか?

オタワの街を散策したり、買い物に行ったりしています。

着任したのが真冬だったため、良い季節になって街を歩くのが楽しいです。また、館員たちと集まることもよくあります。

Q12.どのような学生時代を過ごされましたでしょうか?

研究室は臨床繁殖学教室に所属していました。

家庭教師や大学で飼育されていた肉牛の世話をするバイトをしていましたが、牛が好きだったので、大動物臨床に進むことも考えていました。

進路を迷ったため、NOSAIや動物園、家畜保健所などいろいろな職場で実習をさせていただいたことが、今思うと貴重な経験だったと思います。

Q13.海外で活躍する獣医系技官を目指す学生さんにアドバイス、メッセージをお願いいたします。

学生のときはいろいろな職場を見ることができると思うので、ぜひそのような機会を積極的に利用されると良いと思います。

希望する進路が決まっている方もそうでない方も、実際に体験してみると印象が変わったり、新たな発見があったり、もっと知りたいと思うことがあるかもしれません。

自分で実際に見聞きした体験は、社会に出てからきっと役に立つと思います。

編集後記

大里先生は、厚生労働省の技官として数々のご経験を積まれ、2025年1月にカナダに赴任されました。

赴任後のカナダでのサミットでの初仕事は、「準備を含め怒濤の二週間でしたが、他公館や外務本省からも大勢の応援出張者が来ており、初めて見る業務だったのでとても新鮮に感じられた」とコメントされたのがとても印象的でした。

また、在カナダ日本国大使館での今後の仕事への意気込みや、獣医師としても貢献したいとのメッセージも頂きました。いずれも国内外問わず日本を代表とする仕事の局面が多い職場ではないかと思いました。そのため、常日頃交渉力や自分の考え方を相手に納得させる能力が必要ではないかと思いました。

厚生労働省の獣医系技官として海外勤務を希望される方々への大里先生からのメッセージは大いなる励みになったと思います。今後の先生の活躍を期待いたします。

最後になりましたが厚生労働省の獣医系技官の先生へのインタビューにつきまして国内2回、海外1回の計3回にわたり紹介いたしました。

インタビューにつきまして多大なるご協力をいただきました厚生労働省の方々に感謝申し上げます。

動物医療発明研究会は、会員を募集しています。入会を希望される方は、「動物医療発明研究会」まで。

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