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■【寄稿】国内外の各分野で活躍されている獣医師(9)~日本全薬工業株式会社(ZENOAQ) 加藤正浩先生、池 慧詩先生

2025-04-28 19:45 掲載 ・2025-04-28 19:48 更新 | 前の記事 | 次の記事

写真1

写真2、写真3、写真4

写真5、写真6

記事提供:動物医療発明研究会

インタビュアー・構成・執筆 伊藤 隆

動物医療発明研究会 広報部長/獣医師

国内外の各分野で活躍されている獣医師の先生方にインタビューを開始し、第8回目は、林兼産業株式会社に勤務されている水産獣医師の先生方の記事を掲載いたしました。

今回は、動物用医薬品メーカーに勤務されている獣医師の第4回目として、日本全薬工業株式会社(ZENOAQ) 研究開発本部 中央研究所長 加藤正浩先生(獣医師・獣医学博士)、研究開発本部 開発部長 池 慧詩(チー・フェイシャイ)先生(獣医師)を中心に、研究開発本部長 岩井隆也先生(薬剤師、経営学修士)、経営企画部長 飯澤憲一様の4名(写真1)にお話をうかがいました。

(取材日:2025年1月29日)

Q1.日本全薬工業株式会社の概況とセールスポイントを教えてください。

概況ですが、全社売上高は43,675百万円(2023年度実績)です。小動物領域の売上高は約28,000百万円(64%)、産業動物領域の売上高は、約15,000百万円(36%、牛用製品が約12,500百万円、豚・鶏製品が約2,500百万円)です。

主力は、以下の製品です。

  • 小動物領域
  • アレルミューンHDM(写真2)、エポベット(写真3)、ブレンダZ(石原産業株式会社との共同開発、写真4)ネクスガードシリーズ(駆虫薬:ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン株式会社の製品)、ファルミナペットフーズ・ジャパン株式会社療法食、ベトキノール製品サプリメントシリーズ等。
  • 産業動物領域
  • 固形塩シリーズ、輸液剤G、乳房炎軟膏G、カーフサポートG、ゼノロング(豚用精液希釈剤)、ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン株式会社鶏ワクチンG、ゴッシュ(ワクモ駆除剤)、Mg・MS生ワクチン等

ZENOAQの強みは以下のことだと考えています。

  • ①研究開発を支える幅広い人材とそれによって可能となる新薬の開発。
  • ②研究開発、製造、販売それぞれが三位一体となった次世代に向けた創薬。
  • ③お客様の多様なニーズに応えるための動物種別に専属化した営業体制および業界唯一の直販体制。
  • ④ZENOAQと小動物病院を結ぶ重要なプラットフォーム「ベッツダイレクト」による、デジタルを活用した受発注システムや情報発信。

Q2.ZENOAQの名前の由来について教えてください。

ZENOAQという名前は、以下の言葉の頭文字から成り立っています。私たちの活動が、動物、お客様、市場、そして社会に深い信頼感と満足をもたらすよう、私たち一人ひとりが最大の努力をつくすという意味が込められています。

  • Zen:社名の全薬(すべての動物)
  • Noah:ノアの箱船(動物)
  • Active:活動的・積極的
  • Acquire:獲得する
  • Quality:品質

Q3.獣医師はどのような業務を担当されるのでしょうか?

下記のように社内の幅広い職務を担当しています。

  • 研究開発
  •  動物を用いた有効性・安全性の評価の他、新しい研究テーマを発掘したりプロジェクトリーダーとして研究を率いる等の役割を担っています。
  • 薬事開発
  •  獣医学や薬学、生命科学の知識を活かし、中央研究所を含めた社内外の研究・試験・製造関連機関で得られたデータをもとに薬事申請を推進します。臨床試験の計画立案や、動物病院と連携した試験全体の統括、運営を行っています。
  • 営業支援・学術活動
  •  市場調査や販売戦略の立案・実行を通じて、効果的な営業支援を行います。医薬品情報の発信を目的としてセミナー開催や、セーブペットプロジェクト等の社会貢献活動を通して、ブランド価値の向上に貢献しています。
  • 事業開発
  •  市場分析に基づいた製品戦略の立案と展開を行います。また、自社開発製品の事業化戦略を策定し、関係部署と密接に連携して推進します。
  • 信頼性保証
  •  製造販売業におけるGQP(Good Quality Practice)の遵守をはじめ、薬事承認された製品の薬事対応や、GPSP(製造販売後調査)の実施を担当しています。

Q4.加藤正浩先生は臨床の現場を経ているそうですが、印象に残る経験がありますか。

大学を卒業後、獣医療の現場を学ぶために動物病院で研修させてもらったことがあります。そこで、できる限りのことを尽くして命を救おうとする先生方の姿に深い尊敬の念を持った一方で、予想外の転帰をたどって死に至る動物の姿や、教科書通りの経過をたどり死に至る動物の姿を目の当たりにしました。

この経験を通じて、机上の学びでは理解できない獣医療の限界を肌で感じ、それが現在の仕事に対する大きなモチベーションになっています。

Q5.コンパニオンアニマル分野で力を入れている領域およびそれに関連する製品や開発中の候補品を教えてください。

  • がん
  •  大学のKOL(キーオピニオンリーダー)との共同研究を通じて、革新的ながん治療の開発に取り組んでいます。
  • アレルギー
  •  世界初の犬アトピー性皮膚炎用減感作療法薬「アレルミューンHDM」を販売中であり、それに続く新たな治療薬の開発も検討中です。
  • 感染症
  •  家畜分野において、AMR(抗菌薬耐性)対策に取り組むとともに、公的機関との共同研究を通じて乳房炎ワクチンの開発を進める等、国の政策にも積極的に関与しています。
  • 腎疾患
  •  世界初のネコ・エリスロポエチン製剤(腎性貧血治療薬)「エポベット」を2023年9月4日販売開始しました。

Q6.世界初の犬アトピー性皮膚炎用減感作療法薬「アレルミューンHDM」の有効成分は何でしょうか?

本製品は、犬アトピー性皮膚炎の主要なアレルゲンの1つであるDer f 2抗原を有効成分としています。効能効果は、チリダニ(ハウスダストマイト)のグループ2アレルゲン(Der f 2及びDer p 2)に感作されたアトピー性皮膚炎の症状の改善です。

Q7.アレルミューンHDMは、6つの製品がありますが何が違うのでしょうか?

アレルミューンHDMには6種類の製品がありますが、その違いは1容器あたりの有効成分の含有量です。具体的には、組み換え型Der f 2-プルラン結合体(Der f 2として)の量が異なっています。この製品は、犬の皮下にほぼ1週間隔で注射を行い、少しずつ有効成分の量を増やしていくことで、アレルギー反応を抑える仕組みになっています。具体的な投与スケジュールは以下の通りです。

  • 1回目:アレルミューンHDM 0.1(0.1µg)
  • 2回目:アレルミューンHDM 0.5(0.5µg)
  • 3回目:アレルミューンHDM 1(1µg)
  • 4回目:アレルミューンHDM 2(2µg)
  • 5回目:アレルミューンHDM 5(5µg)
  • 6回目(必要に応じて):アレルミューンHDM 10(10 µg)

特徴的なのは、1回の投与が1本の注射で済むという点です。これにより、飼い主さんの負担も少なく、獣医師の方々にとっても投与の利便性が高い治療法となっています。

Q8.エポベットの製品特長と開発時におけるご苦労がありましたら教えてください。

エポベット(写真5)の特長は以下の通りです。

  • 世界初、猫のために作られたエリスロポエチン製剤
  •  これまでのエリスロポエチン製剤はヒトのものだけでした。本剤は猫のために開発された世界初のネコ・エリスロポエチン製剤です。
  • 臨床試験において確認された有効性と安全性
  •  国内臨床試験にて、腎性貧血の改善と安全性が確認されています。裏付けされたデータと共に、動物用医薬品による治療選択肢を提供します。
  • 猫へのストレスに配慮した投与頻度
  •  血中滞留性を高めるためにポリエチレングリコール(PEG)を付加しています。本剤は2週間に1度の投与頻度で承認を取得しております。

エポベットは、遺伝子組換え鶏技術(TG鶏)を用いて開発した世界初のネコ用腎性貧血治療薬です。この技術は当社としても全くの新分野で、TG鶏の作製・飼育から、卵白からの原液精製、さらに品質評価技術の確立に至るまで、全く新しい技術の習得が必要でした。私たちは長期出張での技術研修や、社外分析機関とのディスカッションを繰り返し行いながら、試行錯誤の末に安定した高品質の製造技術を確立しました。

さらに、動物用の腎性貧血治療薬はこれまで存在しなかったため、市場情報がほとんどないという別の課題もありました。市場調査会社からのデータだけでは不十分だったため、当社の動物病院専用のECプラットフォーム「ベッツダイレクト」によるアンケートや、営業所長の人脈を活用した獣医師への聞き取り調査など、さまざまな手法を駆使して情報を収集しました。こうして現場のリアルな声を反映し、より正確なマーケットニーズを把握することができました。

加えて、原薬製造業者に対するGMP監査も大きな挑戦でした。当時はコロナ禍の真っ只中で、実際に工場に足を運ぶことができず、限られた人員で書面監査を実施する必要がありました。準備には約1年弱を要しましたが、外部コンサルタントや製造業者の皆様の協力を得ながら進めたことで、無事に監査を完了することができました。

こうした数々の困難を乗り越えたことで、エポベットという革新的な製品を市場に送り出すことができたのは大きな達成感につながりました。

Q9.池 慧詩先生に伺います。ご出身とどうして日本にこられたのか教えてください。

私はマレーシア出身です。中学生の頃、ニュースで見た阪神淡路大震災で、日本の方々が自助・共助の精神で助け合う姿に感銘を受け、日本文化をもっと深く知りたいと思いました。その思いから、高校の交換留学プログラム(AFS)に参加し、北海道帯広市の高校に1年間留学しました。

帯広での生活を通じて、自然の美しさや温かい人々に触れ、日本での学びをさらに深めたいと思うようになりました。また、マレーシアで発生したニパウイルス感染症によって多くの養豚農家が廃業する光景を目の当たりにし、獣医学を学び、食用動物の生産現場に貢献したいと考えるようになりました。こうした経験から、私は帯広畜産大学の獣医学科への進学を決意しました。

Q10.池先生、日本に残られた訳、そしてZENOAQの社風など感じられたことを教えてください。

日本に残って働くことを決めたのは、これまで私を支えてくださった日本の方々に恩返しをしたいと考えたからです。留学中は奨学金を含め、経済的にも精神的にも多くの支援を受け、そのおかげで無事に獣医師国家試験に合格することができました。

この経験から、日本で自分の力を活かし、貢献したいと思いました。さらに、日本の高い技術をもっと世界に知ってもらいたいという思いから、それを発信し広めることを目指して、日系動物用医薬品メーカーであるZENOAQに入社しました。

ZENOAQは、挑戦を歓迎し、多彩な個性を尊重しながら、社員一人ひとりの成長を大切にしてくれる温かい会社です。上司や先輩方はいつも親身にサポートしてくださり、意見やアイデアを真摯に受け止めてくれる環境が整っています。加えて、ZENOAQの社員は誠実で情熱的な方が多く、動物医療を通じて社会に貢献したいという共通の思いを持ちながら、それぞれの個性や専門性を活かして活躍しています。このような多様性に満ちた環境で、支えてくださる仲間と共に成長できることに感謝し、真心を込めて日々の仕事に取り組んでいます。

Q11.池先生がチャレンジしてみたいことがありますか?

自社で開発した医薬品を日本だけではなく世界中の獣医師へ届けることにチャレンジしたいです。私自身の獣医師免許は日本限定ですが、開発した医薬品は国境を越えて、より多くの動物とその飼い主を含めたお客様の幸福につながります。自社製品を海外市場に展開し、世界中の動物医療の向上に役立てることが目標です。

また、国内では日本の獣医師とZENOAQの営業・研究開発が連携することで、日本発の治療ガイドラインの策定にも挑戦したいと考えます。

Q12.御社の長期計画である「ビジョン2030」を教えてください。

当社では2021年度に新たに「ビジョン2030」を策定しました。ビジョン2030で最重要と位置付けるのが、ZENOAQのバイオ医薬品の価値をグローバル化することです。

バリューチェーン間の連携強化やビジネスパートナーとの協力を積極的に行うことで、事業化を更に加速させます。また、既存ビジネスから新しい領域での成長を狙うべく、今までにない発想のビジネスを探索していきます。

Q13.具体的な海外展開を教えてください。

中国では、天津全薬動物保健品有限公司という子会社を設立し、日本向けと中国を始めとするアジア地域向けの固形塩を製造しています。アジア地域向けの固形塩は、現地の会社と協力しながら販売を行っています。

また、ゼノロングという豚用の精液希釈剤を中国向けの処方に変更し、ビジネスパートナーと協力しながら現地で展開しています。

今後は、アジア向け固形塩の販売強化、日本からの輸出品のエリアの拡大、現地のビジネスパートナーと組んだフィービジネスモデルを拡大していきたいと考えています。

ZENOAQは、福島から世界へ自社製品を届けるグローバルカンパニーを目指しています。さまざまなハードルはありますが、ZENOAQの製品を海外展開させることは、今我々が取り組んでいる大きな挑戦です。

Q14.エキゾチックアニマル分野における構想を教えてください。

現在、当社はウサギ用のラビットフード(コンフィデンス、写真6)を取り扱っていますが、エキゾチックアニマルのための医薬品開発は行っていません。ただし、イヌやネコ以外の領域は未開拓な部分が多く、将来的なニーズとして関心は持っています。

特に爬虫類の分野では、近年の飼育環境の改善により寿命が延びてきており、今後人工飼料による栄養管理やそれに伴う新たな医療ニーズが生まれる可能性があります。また、ウサギや鳥の感染症や、これらの動物を介したノミ等による人獣共通感染症は公衆衛生の観点から将来人間社会に影響を及ぼす可能性があると考えています、因みに、エキゾチックアニマルは医薬品研究においても新たな有効成分や物質の探索に重要な役割を果たす生物です。歴史的にも、ヘビやトカゲから発見された化合物が医薬品として応用された例があり、例えば、カプトプリル(抗高血圧薬)やエキセナチド(2型糖尿病治療薬)などがその代表例です。

先般、当社は東海国立大学機構が取り組むCOMIT(One Medicine創薬シーズ開発・育成研究教育拠点)と包括的産学連携協定を締結しました。COMITでは、人とエキゾチックアニマルを含めた動物の疾患の共通点、相違点を探究し、疾病の予防や治療に繋がる医薬品開発に挑戦しています。

Q15.開業獣医師にメッセージをお願いします。

ZENOAQは動物薬メーカーとして、安全で高品質な製品を通じ、動物の健康と人の幸福に貢献することを使命としています。動物薬は、対象動物の特性を踏まえた専用設計で開発されており、その有効性と安全性は対象動物を用いた治験を経て当局の承認を得ています。これらの製品は、添付文書に基づいて適切に使用いただくことで、最大の効果を発揮します。

私たちは、獣医師の皆様から寄せられる困りごとや要望を研究開発に活かし、それを製品としてお届けることに注力しています。獣医療の発展は、私たちメーカーだけでは成し遂げることはできず、獣医師の皆様との協働が不可欠です。そのため、獣医師の先生方に使用いただいた結果(有効性と安全性等)を基に、確保した医薬品の開発に引き続き取り組んで参ります。

動物用医薬品の開発には、多大な時間と費用が必要であり、その原資は製品をご使用いただくことで支えられています。皆様に製品を適切にご活用いただくことで、新たな医薬品や治療法の開発が可能となり、動物医療全体の進歩につながります。

このような現場での信頼とご活用こそが、未来の革新を生み出す大きな原動力となります。

Q16.では次に就職を希望する獣医学生に向けて、先輩としてのメッセージをお願いします。

動物用医薬品メーカーである当社には、さまざまな職種や職務があり、獣医師として幅広いキャリアを積むことができます。研究開発はもちろん、薬事、営業、マーケティング、さらに国際など、多岐にわたる分野で自分のスキルを活かせる環境があります。

目標が明確な人も、まだ自分の進む道を模索している人も、獣医学で学んだ知識と自分自身の特長を組み合わせて活用することで、会社や社会に大きく貢献できるチャンスがあります。また、獣医学に限らず、さまざまな分野の知識やスキルも身に付けることができるので、ポータブルスキル(どこでも通用するスキル)を増やすことができるのも魅力の一つです。

動物用医薬品開発という分野は、動物の健康を支えるだけでなく、人と動物の共生社会の発展にも貢献できるやりがいのある仕事です。自分の可能性を広げたい人には最適な環境だと思いますので、ぜひ一歩踏み出してみてください。

Q17.動物用医薬品業界への貢献について具体的に実施されていることを教えてください。

当社は、動物用医薬品業界の発展に貢献するため、国内外のさまざまな組織やプロジェクトに積極的に参画しています。以下のような取り組みを通じて、業界の課題解決や技術革新に貢献しています。

  1. HealthforAnimalsのコーポレートメンバーとしての活動
    •  当社は、国際的な動物用医薬品業界団体であるHealth for Animalsのメンバー企業として、世界保文機関(WHO)や国際獣疫事務局(WOAH)といった国際機関と協力し、業界の課題解決に向けたプロジェクトに参画しています。具体的な活動は次の通りです。
      • 抗菌薬の適正使用を推進し、薬剤耐性(AMR)の抑制に貢献。
      • 環境負荷を軽減する製品の開発や製造プロセスの改善に取り組み、持続可能な動物医療の実現を目指しています。
      • 獣医師や畜産関係者向けの研修や情報提供を通じて、動物医療の知識普及に努めています。
  2. VICHのステアリングコミッティメンバーとしての貢献
    •  当社は、VICH(国際協力動物用医薬品規制調和会議)のステアリングコミッティメンバーとして、技術要件の国際調和と実効性の高い規制の策定を推進しています。これにより、新薬開発の促進や規制プロセスの効率化に貢献しています。
      • 動物薬承認に必要な技術要件の国際調和を推進し、ガイドラインの策定・改訂に貢献。
      • 規制当局との意見交換を通じて、科学的基準の整備と業界実態に即した規制の調和を実現。
      • 動物薬の安全性、有効性、品質を確保するための科学的基準の構築、環境への影響を最小限に抑えるリスク評価基準の整備、重複試験の削減による開発コスト・時間の短縮にも寄与しています。
  3. 動物再生医療推進協議会(CARM)での活動
    •  当社は、CARM(動物再生医療推進協議会)の理事の一人として、動物再生医療の適正な実施と実用化の推進に取り組んでいます。
      • 動物再生医療等製品の実用化に必要な情報の調査と課題の検討。
      • 5つの課題(製造原材料の基準、細胞の品質管理、安全性評価、輸送時の管理、臨床試験の評価)に基づくワーキンググループを結成し、実用化に向けた取り組みを行っています。
      • 国や関連団体と連携し、再生医療分野の発展に寄与しています。
  4. しゃくなげ会の活動
    •  当社は、獣医畜産技術者の技術向上を目的とした研修会であるしゃくなげ会を毎年開催しています。この会は、1969年に創設され、今年で56年目を迎えます。
      • 地域密着型の研修内容を通じて、全国の獣医畜産技術者のスキル向上に貢献。
      • 会の名称「しゃくなげ会」は、風雪に耐えて咲く福島県の県花にちなんでおり、技術者たちのたゆまぬ努力と成長を象徴しています。

これらの取り組みを通じて、当社は動物用医薬品業界の持続的発展と動物医療の質の向上に貢献しています。今後も、業界全体の成長と動物の健康に寄与するための取り組みを継続していきます。

Q18.飯澤憲一様は農林水産省へ1年間出向されていたとお聞きしましたが、そのことについて教えてください。

動物用医薬品メーカーと農林水産省の人事交流という初めての試みで、畜水産安全管理課薬剤耐性対策班の職員として1年間勤務しました。

動物用医薬品メーカーが抱えている課題や、考え方を伝えられたこと、また、国内国外の社会が抱えている課題を理解できたことは大きな収穫でした。これからも、ビジネスを通じて課題解決に取り組んでいきたいと考えています。

今後も対話を継続し、お互いに良い関係性を継続していければと思います。

編集後記

動物用医薬品メーカーで活躍されている獣医師の先生の第4回目としてZENOAQに勤務されている加藤正浩先生、池 慧詩先生を中心にお話をうかがいました。

ZENOAQは、世界初の犬アトピー性皮膚炎用減感作療法薬「アレルミューンHDM」、世界初のネコ・エリスロポエチン製剤(腎性貧血治療薬)「エポベット」など、世界初の革新的な商品を次々と販売する開発力のある動物用医薬品メーカーです。

特筆すべきはエポベットは2つの課題をクリアして製品化されたことです。

1番目は、遺伝子組換え鶏技術(TG鶏)を用いながら、試行錯誤の末に安定した高品質の製品技術を確立したことです。2番目は、動物用の腎性貧血治療薬はこれまで存在しなかったため市場情報がほとんどないという課題にも、獣医師への聞き取り調査などで情報を収集し、より正確なマーケットニーズを把握したことで、大変なことだったと思います。数々の困難を乗り越えたことで、「エポベット」という革新的な製品を市場に送り出すことができたのは大きな達成感につながり、今後の新製品開発にも繋げることになると思います。

このような画期的な新製品が生み出される背景には、池 慧詩先生がコメントされていたように、ZENOAQ社が、挑戦を歓迎し、多彩な個性を尊重しながら、社員一人ひとりの成長を大切にしてくれる温かい会社であることと、上司や先輩方が親身にサポートし、意見やアイデアを真摯に受け止めてくれる環境が整っていることだと思います。

さらに最近では、動物用医薬品メーカーと農林水産省の人事交流という初めての試みで、経営企画部長の飯澤憲一様が畜水産安全管理課薬剤耐性対策班の職員として1年間勤務したことは、とても意義のあることですし今後も継続すべきだと思いました。

今後、ZENOAQの自社製品が海外市場に展開され、世界中の動物医療の向上に役立てることを期待しています。

動物医療発明研究会は、会員を募集しています。入会を希望される方は、「動物医療発明研究会」まで。

シリーズ「国内外の各分野で活躍されている獣医師」