獣医公衆衛生学
獣医学教育モデル・コア・カリキュラム準拠
編 | : | 獣医公衆衛生学教育研修協議会 |
定価 13,750円 (本体 12,500円+税)
送料 671円~(地域・お支払い方法によって異なります)
・ISBN:978-4-8300-3289-9 (2024年3月 発行)
・頁:496
・判型:B5判・ソフトカバー
近年のグローバル化に伴い,国境を超える人や物などの移動が急速に拡大しています。さらに、地球温暖化や乱開発により、動植物の生態系も変化し始めており、これらの影響は人や動物を宿主とする伝染性病原体の分布や伝播にも大きく関係し、今までわが国には無縁と思われていた外来微生物による感染症(越境性感染症)の侵入リスクが急激に高まってきました。2019年に中国で発生した新型コロナウイルスによる感染が渡航者によって短期間に世界中に伝播したことは記憶に新しい事例です。さらに、「食の安全」の確保も社会(消費者)の関心を集めており、国外で生産され、わが国に輸入される食品だけでなく、国内で生産・消費される食品においても、食品衛生管理の国際基準である危害要因分析重要管理点方式(HACCP)による高度衛生管理が不可欠となっています。
このようなダイナミックかつグローバルに変化する公衆衛生分野の諸課題に取り組むためには、行政対応に係る立案、感染ルートの解明や拡大予測を行う疫学研究、適切な対策を講じることのできる危機管理能力を備え、さらに実践力を併せ持つ公衆衛生獣医師の養成が強く求められています。本書が学部教育だけでなく卒後教育にも活用いただければ幸甚です。(「はじめに」より一部抜粋)
『獣医公衆衛生学Ⅰ・Ⅱ』を1冊にまとめた全面改訂版。「公衆衛生学総論」、「食品衛生学」、「人獣共通感染症学」、「環境衛生学」についてエキスパートが解説。獣医学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠したテキスト。
略目次
公衆衛生学総論
第1章
獣医公衆衛生学の考え方と概要
1.
公衆衛生学の考え方と概要
2.
疾病の発生と予防活動
3.
国民衛生の指標
第2章
獣医公衆衛生学の役割
1.
食品衛生
2.
人獣共通感染症
3.
環境衛生
4.
動物福祉および動物愛護
第3章
リスクとリスクアナリシス
1.
リスクアナリシス
2.
リスクアナリシスと食品衛生行政
第4章
公衆衛生行政
1.
行政および行政法の存在理由
2.
食品衛生分野の獣医公衆衛生関連法規
3.
感染症対策分野の獣医公衆衛生関連法規
4.
その他の獣医公衆衛生関連法規
5.
公衆衛生行政
食品衛生学
第1章
食品衛生の概要
1.
食品衛生の定義
2.
食品衛生関連法規
3.
飲食に起因する健康被害
第2章
細菌性食中毒
1.
細菌性食中毒の発症機序による分類
2.
主な細菌性食中毒
第3章
ウイルス性食中毒
1.
主なウイルス性食中毒
第4章
寄生虫性・原虫性食中毒
1.
野菜と寄生虫
2.
水と原虫
3.
淡水魚と寄生虫
4.
海産魚と寄生虫
5.
淡水カニ類と寄生虫
6.
豚肉と寄生虫
7.
牛肉と寄生虫
8.
馬肉と寄生虫
9.
その他の食品および媒介寄生虫
第5章
自然毒
1.
動物性自然毒
2.
植物性自然毒
3.
自然毒食中毒の予防
第6章
有害物質による食品汚染と健康障害
1.
環境由来汚染物質
2.
腐敗アミン
3.
カビ毒(マイコトキシン)
4.
残留農薬
5.
残留動物用医薬品
6.
放射性物質
7.
重金属類およびヒ素
8.
誘起性有害物
9.
その他の食品汚染化学物質
10.
食品中に残留する農薬等の規制
第7章
食品添加物
1.
食品添加物の使用目的と法的規制
2.
食品添加物の安全性評価
3.
食品添加物に関する規制
第8章
生体反応により生じる食品の有害性
1.
食物アレルギー
2.
腸内細菌との相互作用による食品の有害性
第9章
食品の腐敗・変敗とその防止
1.
食品の品質劣化とその影響
2.
食品ロスと食品の変質防止
第10章
食品の規格と表示
1.
食品の規格基準
2.
衛生指標細菌
3.
食品の表示
第11章
食品衛生管理
1.
生産から消費までの衛生管理
2.
一般衛生管理(GHP)
3.
HACCP
4.
世界食品安全イニシアチブ(GFSI)
第12章
乳および乳製品の衛生
1.
乳および乳製品の衛生管理の詳細
第13章
食肉および食鳥肉の衛生
1.
食肉の衛生
2.
食鳥肉の衛生
第14章
食卵の衛生
1.
食卵の衛生管理の詳細
第15章
魚介類の衛生
1.
鮮度保持と鮮度判定
2.
魚介類による健康障害
第16章
野菜および果物の衛生
1.
野菜および果物の衛生管理の詳細
第17章
食品の機能性
1.
食品の機能と機能性食品
2.
機能性食品と保健機能食品制度
人獣共通感染症学
第1章
人獣共通感染症学の概要
1.
人獣共通感染症
2.
人獣共通感染症と人間の活動
3.
人獣共通感染症の地理的分布と環境要因
4.
新興・再興感染症
5.
バイオリスクマネージメント
6.
人獣共通感染症制御の法的基盤
第2章
各種動物から伝播する人獣共通感染症
1.
伴侶動物由来の人獣共通感染症
2.
産業動物由来の人獣共通感染症
3.
野生動物由来の人獣共通感染症
4.
節足動物由来の人獣共通感染症
第3章
ウイルスおよびプリオンによる人獣共通感染症
1.
RNAウイルスによる人獣共通感染症
2.
DNAウイルスによる人獣共通感染症
3.
プリオンによる人獣共通感染症
第4章
リケッチアおよびクラミジアによる人獣共通感染症
1.
リケッチアによる人獣共通感染症
2.
クラミジアによる人獣共通感染症
第5章
細菌による人獣共通感染症
1.
グラム陰性菌による人獣共通感染症
2.
グラム陽性菌による人獣共通感染症
3.
抗酸菌による人獣共通感染症
第6章
真菌による人獣共通感染症
1.
真菌による主な人獣共通感染症
第7章
原虫による人獣共通感染症
1.
原虫による主な人獣共通感染症
第8章
寄生虫による人獣共通感染症
1.
寄生虫による主な人獣共通感染症
環境衛生学
第1章
環境衛生の概要
1.
環境衛生の概念と歴史
2.
環境基本法と関連法規
3.
環境衛生と獣医学
第2章
自然環境
1.
自然環境の保護と保全
2.
生物多様性
3.
環境アセスメント
第3章
生活環境Ⅰ(水)
1.
水と健康
2.
水道
3.
下水道
第4章
生活環境Ⅱ(空気)
1.
気象
2.
空気
3.
室内環境
第5章
生活環境Ⅲ(廃棄物)
1.
廃棄物の処理
2.
循環型社会
3.
廃棄物の国際移動
第6章
地域環境(公害)
1.
公害の歴史と対策
2.
公害各論
第7章
地球環境
1.
地球温暖化
2.
オゾン層の破壊
3.
酸性雨
4.
熱帯林の減少と砂漠化
5.
海洋汚染
第8章
化学物質と放射性物質
1.
化学物質汚染
2.
化学物質の管理と規制
3.
放射性物質汚染
第9章
衛生動物
1.
衛生動物の詳細