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■新刊紹介『イヌの動物学 第2版』 東京大学出版会

2020-01-29 18:17 | 前の記事 | 次の記事

『イヌの動物学』(写真は帯付き)

猪熊 壽・遠藤秀紀 著

本書『イヌの動物学 第2版』は、約20年ぶりに改訂された「アニマルサイエンス」シリーズ全5巻の最後として刊行され、第1版の著者である猪熊 壽先生に加えて、遠藤秀紀先生が補章を書き加えている。

本シリーズ全体に言えるのであるが、対象動物のことを広く明解に書いてあり、獣医学を学ぶ学生には必読の書となっている。このシリーズを手がかかりにして、興味のある分野の学問を深めていくのもよいであろう。

著者の猪熊先生は産業動物臨床学を牽引する大学人であり、「なぜこの書籍の著者が猪熊先生なの?」と思われる方もいるだろうが、感染症の分野など小動物分野の研究業績も多く、第1版の著者として選ばれたことは、本書を手に取り読み進めれば誰もが納得されるであろう。

第1版を踏襲する第1章から第5章については、大きな変更点はないようである。それは、その必要がないからであろう。飼い主としての犬へのやさしい目線も盛り込んで、犬学を追求されている。

そして犬の起源、進展目覚ましい認知科学的研究については、補章として遠藤先生が執筆されている。特に起源については、最新の研究動向が、その研究価値も含めて簡潔(約8頁)に解説してある。

  • 目次
  • 第1章 野生から人類の友人へ-進化と家畜化
  • イヌのなかま
  • イヌの進化
  • 家畜化と再野生化
  • つくられた品種
  • 現在のイヌの役割
  • 第2章 狩人としてのイヌ
  • 狩猟戦術
  • 超感覚
  • 追いかける
  • 雑食動物としてのイヌ
  • イヌの栄養学
  • 第3章 群れの生活とイヌの行動
  • 群れとリーダー
  • 支配と服従
  • 繁殖生理と性行動
  • 個体の行動の発達
  • つくられた行動
  • 第4章 ヒト社会のなかに生きる動物
  • なぜヒトはイヌを飼うのか
  • ヒトを癒す
  • 問題行動
  • ヒトとイヌに共通する感染症
  • 第5章 これからのイヌ学-ヒトとのよりよい関係を求めて
  • つくられたイヌの宿命
  • 高齢化するイヌたち
  • これからのイヌとヒトの関係
  • 補 章 イヌ知のいま
  • イヌはどこから来たのか
  • “賢さ”の本質

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