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日本獣医内科学アカデミー第19回学術大会で研究アワード(JVM賞)を受賞した西堀翔真先生にコメントをいただいた。
- 受賞研究テーマ:
- 「ネコPD-1/PD-L1の結合を阻害する抗ネコPD-1キメラ抗体の開発」
- 西堀翔真(山口大学 獣医臨床病理学教室)
このたびは日本獣医内科学アカデミー第19回学術大会の研究アワードにご選出いただき誠にありがとうございます。
私にとっては初めての現地開催での学会発表であり、緊張してのぞみましたが、対面形式で研究成果を発表できたことを大変うれしく思います。難しい情勢の中、現地での大会開催に向けてご尽力いただいた方々にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
近年医療において、PD-1/PD-L1などの免疫チェックポイント分子が新たながん治療のターゲットとして注目されています。本研究では、ネコにおいても臨床応用可能な抗ネコPD-1抗体を開発することを目的として取り組んできました。今回の発表では新たに開発した抗ネコPD-1モノクローナル抗体がPD-1とPD-L1の結合を阻害できることを明らかにしました。さらに、臨床応用に向けて作製した抗ネコPD-1キメラ抗体が、抑制されているリンパ球の機能を回復させることがわかり、がんを患っているネコに対する新たな治療法となる可能性が示唆されました。しかし、この抗体を製薬化するためには、生体内で抗体がどのように機能するのかさらなる解析を行う必要があり、安全性の面でクリアしなければいけないハードルが数多くあります。
私はこの春より大学院に進学し引き続き研究を行っていきたいと考えております。本研究が、がんで苦しんでいるネコたちの新たな治療選択肢につながるよう、これからも研究に励んでいく所存です。