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日本獣医内科学アカデミー第19回学術大会で研究アワード(JVM賞)を受賞した木村和人先生にコメントをいただいた。
- 受賞研究テーマ:
- 「輸血への応用に向けた赤芽球由来イヌiPS細胞の作製と赤血球への分化誘導」
- 木村和人(大阪公立大学 細胞病態学教室)
このたびは、獣医内科学アカデミー学術大会にて研究アワードに選出していただき、誠にありがとうございます。また、このような発表の機会を与えてくださった大会関係者の皆様、審査員の皆様、文永堂出版様に、心から感謝申し上げます。
私は、大阪府立大学(現 大阪公立大学)の学部4年時に、現在の所属研究室である細胞病態学教室でイヌ人工多能性幹細胞(iPS細胞)と出会いました。体のさまざまな細胞へと分化できるイヌiPS細胞は、失われた細胞・臓器を補う再生医療だけでなく、培養皿上で病態を再現し、創薬にまで応用できる可能性を秘めていることを学び、その魅力に魅了されて同大学の大学院に進学しました。
一方、学部から大学院にかけて、大学附属病院での診察に参画させていただく中で、獣医療では献血や血液バンクのシステムがまだ整備されていないこと、そのために輸血治療を行うことは非常に困難であることを実感しました。この問題を解決すべく、献血に頼らない輸血用血液の安定供給を目指して、イヌiPS細胞由来赤血球の作製に関する研究を行っています。今回、赤芽球由来イヌiPS細胞の作製、そして、赤血球前駆細胞への分化誘導に成功しました。今後は、成熟した脱核赤血球を大量に効率よく作製できるような手法の開発を目指します。
獣医療の発展に少しでも貢献できるよう精進してまいりますので、今後ともご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
- 参考ニュース記事:
- JVM NEWS 2023-03-03「日本獣医内科学アカデミー 研究アワードが発表される」