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「福岡県One Health国際フォーラム2021」が2021年1月30日に行われ、開会式、基調講演、対談が福岡国際会議場からライブ配信された。
基調講演は以下の3題。
- 「世界における新型コロナウイルス感染症の現状と対策」
- 茅野龍馬先生(WHO 健康開発総合研究センター医官)
- 「ワンヘルスの観点からみた新型コロナウイルス感染症の現状と対策」
- 横倉義武先生(公益社団法人日本医師会 名誉会長)
- 「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたワンヘルスの今後の展望」
- 藏内勇夫先生(公益社団法人日本獣医師会 会長)
茅野龍馬先生は、新型コロナウイルスの概要のほか、The Access to COVID-19 Tools(ACT) Accelerator(ACTアクセラレーター)を紹介した。これは世界保健機関(WHO)が、新型コロナウイルスへの対応について国際協力体制を構築するために2020年4月に発足したもの。この感染症を終息させるためには世界各国の協調が必要であるということを前提に、診断、治療の支援、ワクチンの国際協調などを解説した。ただ、現在、ワクチンナショナリズムやワクチン忌避が問題となりつつあるとの危機感を訴えた。今大事なことは、Be Safe(地味な心掛けを続けること)、Be Smart(正確な情報をフォローしていくこと)、Be Kind(人と人が支えあうこと)であると講演を締めくくった。
横倉義武先生は、主に国内の感染状況、医学的な概要を解説した。またこの感染をとりまく状況についても触れた。
藏内勇夫先生は、人に感染症を起こす病原体は1400あり、その6割は人と動物の共通感染症であり、その感染症の動物側の研究、対策は獣医学の責務であり、感染源の特定、感染経路の遮断、宿主の抵抗力の強化は獣医学が果たすべき役割であると述べた。日本獣医師会をはじめ、獣医師がワンヘルスに取り組んできた事例を紹介した。さらに1月に公布された、福岡県ワンヘルス推進基本条例(参照:JVM NEWS 2021-01-12)も紹介し、その取り組みが全国に広がることへの期待を述べた。そして感染症に対して、愛玩動物や野生動物も包括した動物関連法の整備の必要性を訴えた。
最後に40分ほど、横倉先生と藏内先生の対談が行われ、日本医師会と日本獣医学会が手を携えてワンヘルスの啓発に努めてきた経緯や成果などを語った。そして藏内勇夫先生は、ワンヘルスの6つの柱を行っていくことが大切であると最後に語った。
その6つの柱は以下の通りで、公益社団法人福岡県獣医師会が市民向けのパンフレットを作成している。
- 人と動物の共通感染症対策
- 薬剤耐性菌対策-薬剤の適正使用と管理
- 環境保護
- 人と動物との共生社会づくり
- 健康づくり
- 環境と人と動物のより良き関係づくり
このライブ配信を含め、特別講演、分科会の講演内容は、無料でオンデマンド配信されている(https://one-health-fukuoka.net/index.html)。