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■「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」骨子案

2019-12-04 18:53 | 前の記事 | 次の記事

冒頭で挨拶を行う畜水産安全管理課長の石川清康先生。その左は会議の進行を司った同課獣医事班担当の末谷桃子先生。石川先生から右は委員の先生方で、審議会長の砂原和文先生(公益社団法人日本獣医師会)、部会長の西村亮平先生(東京大学)、伊沢綾子先生(つばさ家畜診療所)、大塚 昭先生(Meiji Seikaファルマ株式会社)

農林水産省は、2019年11月27日、同省内会議室において「令和元年度獣医事審議会第4回計画部会」を開催した。

今回は今まで討議された意見を取り入れた「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」の骨子案が提案された(http://www.maff.go.jp/j/council/zyuizi/keikaku/r1_4/attach/pdf/shiryo191127-8.pdf)。基本方針の大項目は「獣医療法」で定められている以下の6つ。

  • §第1 獣医療の提供に関する基本的な方向
  • 獣医療を取り巻く情勢が著しく変化する中で、計画的に獣医療を提供する体制を整備していく上での基本的な方向について規定する。
  • §第2 診療施設の整備及び獣医師の確保に関する目標の設定に関する事項
  • 診療施設の整備目標を設定するための基準(整備の主体、整備の対象となる診療施設、診療機器に関する基本的考え方)、獣医師の確保目標を設定するための基準(必要とされる獣医師の数の算出方法に関する基本的考え方)等について規定する。
  • §第3 獣医療を提供する体制の整備が必要な地域の設定に関する事項
  • 獣医師の参入状況、獣医療技術の実態等に基づき獣医療の需要と供給の中長期的な見通しを行い、獣医療を提供する体制の整備が必要な地域の設定を行う上での考え方について既定する。
  • §第4 診療施設その他獣医療に関連する施設の相互の機能及び業務の連携に関する基本的事項
  • 効率的な獣医療の提供体制を整備するため、都道府県が、地域の実情に応じ、開業獣医師、農業共済団体の診療施設等の間の機能・業務連携を推進していく上での基本的な考え方について規定する。
  • §第5 獣医療に関する技術の向上に関する基本的事項
  • 獣医療技術の向上のために、計画的な研修の実施等を図る上での基本的考え方について規定する。
  • §第6 その他の獣医療を提供する体制の整備に関する重要事項
  • 都道府県計画において、地域の実情に応じ、獣医療を提供する体制の整備に必要な事項を定める。

小項目も現在の方針をベースとした骨子案が出され、それを元に議論が進められた。骨子案には、以下のような項目等を盛り込んでいくことが提案された。

  • 予防衛生に基づく生産獣医療の提供に対する要請の高まり。
  • 愛玩動物看護師とのチーム獣医療体制の提供の必要性。
  • 産業動物分野、公務員獣医師の確保。
  • 離職者の産業動物分野等への就業誘導。
  • 産業動物分野での地域の実態に合わせた研修や演習の推進。
  • 産業動物分野での様々な世代が活躍できる環境整備の推進。
  • 産業動物分野での情報通信機器等を用いた遠隔地からの診療体制の整備の推進。
  • 飼養衛生管理の指導ができる人材育成の強化。
  • 農業共済組合の家畜診療所の地域獣医療の取り組みの推進。
  • 愛玩動物看護師の役割の理解醸成を図る環境整備の推進。
  • 薬剤耐性に関する知識の普及。
  • インフォームド・コンセントの徹底の啓発。
  • 産休・育休を取得しやすいなど労働環境の整備の推進。
  • 家畜保健衛生所等の獣医師による飼養衛生管理基準の遵守状況の確認や指導における情報通信技術の活用の推進。
  • AIが活用される時代に向けて獣医療におけるビッグデータの活用に向けた環境整備の推進。
  • 獣医師専門医制度や臨床獣医師認定制度の構築と広告規制のあり方の検討。
  • 根拠に基づく診断手法の確立の検討。

今後の予定は以下の通り。

  • 2020年1月 第5回計画部会(基本方針の検討)
  • 2020年2月 一般を対象とした意見聴取(パブリックコメント)
  • 2020年3月 第6回計画部会(基本方針の取りまとめ。答申)

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