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アニコム先進医療研究所株式会社は、2026年6月1日、アニコム パフェ株式会社および麻布大学と共同で、スコティッシュ・フォールドの折れ耳形質に関与するTRPV4遺伝子c.1024G>T変異を有する猫の一部において、成長に伴い、外見上は立ち耳様に変化する現象を遺伝学的に確認したと発表した(参照:アニコム先進医療研究所株式会社「ニュースリリース・トピックス」)。
研究では、経時的に蓄積された写真データと遺伝子型データを統合して解析した結果、折れ耳関連変異を有するにもかかわらず、子猫の時には折れ耳であっても、成長すると立ち耳様に変化する個体が一定割合で存在することを明らかにした。
また、こうした個体は一般的な立ち耳個体と比較して耳介が小さい傾向にあることも確認された。一方で、その差は外見上では判別が難しく、繁殖管理に活かすためには遺伝子検査の実施が重要であると考えられる。
研究成果は、学術誌「Animal Genetics」にて、2026年5月6日にオンライン公開された。
- Straightened small pinnae in TRPV4 c.1024G>T heterozygous cats.
- Yuki Matsumoto, Ryuga Ishii, Hisashi Ukawa, Saaya Hiyoshi-Kanemoto, Hinako Hayashi, Haruka Onishi, Kai Ataka, and Ryo Horie.
- Animal Genetics
スコティッシュ・フォールドの特徴的な折れ耳は、TRPV4遺伝子c.1024G>T変異に起因することが知られている。従来、この変異のヘテロ接合体では折れ耳、野生型では立ち耳を示すと考えられてきたが、ブリーダーや獣医療現場では、外見上は立ち耳に見えても、折れ耳に関連する遺伝的要因を有する個体の存在が経験的に指摘されていた。
同研究では、アニコム損害保険のペット保険契約者の協力のもと、保険契約時および更新時に蓄積された写真データとDNAサンプルを用いて、この現象を科学的に検証した。
写真品質などの条件を満たした114頭を解析対象とした結果、TRPV4変異のヘテロ接合体55頭のうち7頭(12.7%)において、子猫のときには折れ耳であったにもかかわらず、成長に伴い、外見上は立ち耳様に変化する現象が確認された。これにより同研究の対象では、外見上は立ち耳様に見える個体の中に、折れ耳関連変異を有する「隠れ折れ耳(cryptic fold)」の個体が含まれることが示された。
さらに、正面写真が得られた14頭の解析では、隠れ折れ耳群の耳介サイズが、野生型の立ち耳群より有意に小さい結果が得られた。ただし、その差は大きくなく、写真データを用いた詳細な分析では区別できる一方で、外見のみで正確に判別することは難しいと考えられる。
スコティッシュ・フォールドでは、折れ耳同士の交配によってTRPV4変異のホモ接合体が生じた場合、重度の骨軟骨異形成症を呈するリスクが高いとされている。なお、ヘテロ接合体であっても臨床症状の有無・程度には個体差があり、特定の交配を推奨するものではない。
同研究は、外見上は立ち耳に見えても、遺伝学的には折れ耳関連変異を有する個体が存在することを示した点で、遺伝性疾患リスクの把握・管理の観点から重要な知見。今後は、外見のみではなく、TRPV4遺伝子検査によって変異の有無を確認することで、スコティッシュ・フォールドの遺伝性疾患リスクの把握・管理や動物福祉の向上につながることが期待される。
TRPV4遺伝子は、細胞内外のカルシウムの流れを調整することで、軟骨細胞が刺激に応答するしくみに関わっている遺伝子。猫では耳や関節などにある軟骨の発達に関わっていることが分かっている。

