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■薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2025が公表される

2026-03-31 14:03 掲載 | 前の記事 | 次の記事

厚生労働省は、2026年3月26日、「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2025」を公表した(参照:厚生労働省「薬剤耐性(AMR)対策」)。

これは、厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課が事務局を務める「薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会」がまとめたもの。検討会運営には、内閣府食品安全委員会事務局、農林水産省、環境省、国土交通省の関係部局が協力している。

注目すべきデータを抜粋し、グラフや図を中心にまとめた「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2025 サマリ版」も作成されている。

「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2025」の概要は以下の通り。

  1. 「AMR対策アクションプラン(2023–2027)」の成果指標のヒト(2024年まで)、動物分野(2023年まで)における推移のとりまとめ
  2. 国内のヒト、動物、食品、環境分野から分離された特定の微生物の各種抗菌薬に対する耐性率等の推移のとりまとめ
  3. 国内のヒト用抗菌薬および動物用医薬品、抗菌性飼料添加物、農薬等の使用量等の推移のとりまとめ
  4. 病院における感染診療・感染対策・疾病負荷に関する状況等のとりまとめ
  5. 国民や医療関係者等における薬剤耐性に関する意識調査結果のとりまとめ

主構成:

  1. 前文
  2. 略称
  3. 抗菌薬・抗菌剤の種類と略号
  4. 要旨
  5. アクションプランの成果指標
  6. 日本における耐性菌の現状
    • (1) ヒト
    • (2) 動物
    • (3) 食品
    • (4) 環境
    • (5) 薬剤耐性菌のゲノム比較からみたヒト、動物、食品、環境の関連性
  7. 日本における抗菌薬使用量の現状
    • (1) ヒト用抗菌薬
    • (2) 動物用医薬品
    • (3) 抗菌性飼料添加物
    • (4) 農薬
    • (5) 日本における抗菌薬使用の現状
    • (6) 抗菌薬適正使用についての研究
    • (7) 動物用抗菌薬の慎重使用についての研究
    • (8) 環境
  8. 日本における薬剤耐性に関する国民意識
    • (1) 一般国民への調査
    • (2) 医療関係者への調査
    • (3) 動物分野関係者への調査
    • (4) 獣医学生への調査
  9. 今後の展望

参考資料:

  • (1) 院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)
  • (2) 感染症発生動向調査事業
  • (3) 感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)
  • (4) 耐性結核菌の動向調査
  • (5) 動物由来薬剤耐性菌モニタリング(JVARM)
  • (6) 日本の抗菌薬動向調査(JSAC、J-SIPHE)
  • (7) ヒト及び食品由来のCampylobacter sppの薬剤耐性状況の調査
  • (8) ヒト及び食品由来のNon-typhoidal Salmonella sppの薬剤耐性状況の調査
  • (9) Neisseria gonorrhoeae(淋菌)の薬剤耐性状況の調査
  • (10) Salmonella Typhi、Salmonella Paratyphi A、Shigella spp の薬剤耐性状況の調査
  • (11) 薬剤耐性(AMR)ワンヘルスプラットフォーム

畜産分野におけるアクションプラン(2023-2027)の成果指標は、畜種別の課題に沿った精緻な取組みの成果が確認できるようアクションプラン(2016-2020)と同じ抗菌薬に対する大腸菌の畜種別の耐性率が設定された。

新たに畜産分野の動物用抗菌薬の全使用量と第二次選択薬の全使用量を成果指標として定められている。

動物用抗菌薬のうち畜産分野における2023年の抗菌剤販売量は559.4トンであり、2022年の568.0トンから8.6トン減少した。

2027年目標値は2020年から15%減の532.8トンに設定されている。また、畜産分野における第二次選択薬の販売量の成果指標は 27.0トン以下に抑えることとなっているが、2023年は23.5トンであった。

動物用抗菌剤の動物種別の推定販売量(原末換算量)は、豚が最も多く、次いで水産用(海水)であった。2018年以降、豚での販売量は減少している。

畜産動物(牛、豚、馬、鶏、その他)に対する抗菌薬5種(テトラサイクリン系、サルファ剤、ペニシリン系、マクロライド系、アミノグリコシド系)のうち、販売量が最も多いのはテトラサイクリン系抗菌薬であり、38.2~43.1%を占めていたが、2023年は2014年以降で最も少ない量(213.9トン)となった。これは豚における使用量減少の影響が大きいと考えられる。

水産動物(海水魚、淡水魚、観賞魚)に対する抗菌薬5種(マクロライド系、テトラサイクリン系、ペニシリン系、サルファ剤、リンコサミド系)のうち、2015年から2019年にかけて主にマクロライド系抗菌薬が増加しており、その要因として2013年頃から発生が確認されているⅡ型α溶血性レンサ球菌症の治療に伴う影響が考えられる。2020年には減少に転じ、ワクチンの改良などが功を奏した可能性が示唆される。

愛玩動物(犬、猫)向けの抗菌薬5種(セファロスポリン系全体、ペニシリン系、フルオロキノロン系、アミノグリコシド系、サルファ剤)の中で、最も多く販売されていたのは第1世代セファロスポリン系抗菌薬で、次いでペニシリン系抗菌薬であった。

§薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会委員(敬称略)

  • 浅井鉄夫(岐阜大学大学院連合獣医学研究科)
  • 勝田 賢(農研機構動物衛生研究部門)
  • 小林創太(農研機構動物衛生研究部門)
  • 笹本洋一(公益社団法人日本医師会)
  • 四宮博人(愛媛県立衛生環境研究所)
  • 柴山恵吾(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 菅井基行(国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所薬剤耐性研究センター)
  • 菅原 庸(国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所薬剤耐性研究センター)
  • 関谷辰朗(農林水産省動物医薬品検査所)
  • 田中宏明(信州大学工学部/京都大学名誉教授)
  • 藤井勇紀(茨城県県西家畜保健衛生所)
  • 伏見啓二(公益社団法人日本獣医師会)
  • 藤本修平(群馬大学/国立感染症研究所/松田町国民健康保険診療所)
  • 松永展明(国立健康危機管理研究機構国立国際医療センターAMR臨床リファレンスセンター)
  • 御手洗 聡(結核予防会結核研究所)
  • 宮﨑義継(国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所)
  • 村木優一(京都薬科大学臨床薬剤疫学分野)
  • 渡邉治雄(座長、国立感染症研究所名誉所員/黒住研究振興財団)