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毎年3月20日は「世界寄生虫意識向上デー(World Parasite Awareness Day)」である。ベーリンガーインゲルハイムは、2026年3月18日、「World Parasite Awareness Day」に合わせて、ペットの飼い主6,500人を対象に行った寄生虫予防に関するグローバル調査の結果を発表した(参照:ベーリンガーインゲルハイム「プレスリリース」)。寄生虫リスクに関する認知度や予防行動において飼い主の間に依然として大きなギャップが存在すること、飼い主にとって寄生虫対策意識の向上・より明確なガイダンスと啓発・予防習慣の強化が重要であることが明らかになった。
§調査方法
- 実施国:英国、米国、フランス、ドイツ、トルコ、中国、日本、メキシコ、ブラジルの9か国
- 対象:6,500人のペットオーナー
- 時期:2026年1月
- 方法:Sapio Researchによりメールでの告知とオンラインアンケート
調査結果では、27%が寄生虫のリスクをほとんど知らない・あるいはまったく知らないと回答し、75%にのぼる大多数の回答者は、予防に関する明確な助言には価値があると答えた。同時に、43%の回答者は、自分のペットに寄生虫が感染したことがあると回答しており、そのうち5件に1件は過去1年以内のことであった。
こうした結果から、実際の経験と理解度の間に重大なギャップがあることが明確になり、寄生虫リスクの認知向上と、一貫した予防行動が必要であることがわかった。
寄生虫の研究調査によると、米国だけでも、120万頭以上の犬が犬糸状虫症検査で陽性であると推定されている(参照:「Heartworm incidence climbs despite preventive efforts」)。欧州では、犬糸状虫症がこれまでになかった国にも拡大しており、また、南米・アフリカ・アジアの一部地域では、地域的な条件と関連して犬糸状虫症の罹患率が依然として高くなっている。体表につく寄生虫では、マダニは日本をはじめ世界中で一般的にみられる。イタリアで行われた最近の研究では、47%以上の犬についている可能性が示され(「A national survey of Ixodidae ticks on privately owned dogs in Italy」)、東南アジアで行われた同様の研究でも、最大推計で67%の飼い犬で1頭以上のマダニが見つかっている(参照:「Zoonotic Vectorborne Pathogens and Ectoparasites of Dogs and Cats in Eastern and Southeast Asia」)。こうした吸血性の寄生虫は、ライム病(ライム・ボレリア症)・犬バベシア症など、重篤な症状につながりうる感染症を媒介する。
日本では、ペットの寄生虫として、特に体表につくノミやマダニと、体内に潜む犬糸状虫がよく知られている。近年日本でも感染や発症事例が報告されているSFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、マダニを介して感染し、ペットから人にも感染して生命にかかわる深刻な事態になった事例もある。
獣医師は、リスクを判断しながら適切な予防策を助言し、飼い主による責任あるケアを支えるうえで重要な役割を果たす。獣医師は、ペットの健康について最も信頼できる情報源であり、今回の調査でも70%の飼い主は、獣医師にまず相談したいと回答している。寄生虫のリスクは、場所・季節・ライフスタイルによって異なるため、ペットと人を守るには、それぞれに見合ったアドバイス、定期的なモニタリング、責任ある予防対策が不可欠。
寄生虫は、ペットに不快症状や感染症を引き起こすほか、一部は人にも感染することがある。近年の地球規模の温暖化や、広範囲にわたる交易・移動の増加に伴い、寄生虫の生息域は拡大しており、対策はこれまで以上に重要になっている。また、エアコンなどで1年を通して室内が一定の温かさに保たれる快適な環境では、一部の寄生虫が従来の季節周期を超えて活動を続ける可能性があり、飼い主は自身のペットの生活環境やリスクに応じて、年間を通じて適切な寄生虫対策について意識を高め、獣医師にも相談しながら行動することが重要である。
「World Parasite Awareness Day」は、寄生虫がペットや周囲の人に及ぼす健康リスクについて理解を深め、寄生虫対策の重要性を広く伝えることを目的に、毎年3月20日に実施されている。HealthforAnimals が2025年に創設し、獣医師団体や研究者、アニマルヘルス関連団体の支援とともに、寄生虫がもたらす影響や、適切な予防行動の必要性を広く啓発する機会となっている。