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環境省は、2025年10月23日、「令和7年度第5回生態系被害防止外来種リストの見直しに係る検討会」をオンラインで行った。
今回の検討会では第4回目の会合までに検討されたリスト案について、さらに討議した。この後、修正案へのパブリックコメントを募集する。2026年3月に予定されている第6回目の検討会で最終確認が行われ、新リストが公表される。
2010年に開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された愛知目標では「2020年までに侵略的外来種の定着経路が特定され、優先順位付けられ、優先度の高い種が制御され又は根絶される」という個別目標が示された。
これを踏まえて2012年に「生物多様性国家戦略2012-2020」が閣議決定されリストを作成することとなり、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)」が作成され、2015年3月に公表された。侵略性が高く、我が国の生態系への被害が懸念される外来種429種類がリストアップされた。
今回の改訂は、2023年3月に閣議決定された「生物多様性国家戦略2023-2030」に基づき見直されるもので、2022年に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」における個別目標「侵略的外来種の導入率及び定着率を2030年までに50%以上削減する」という高い目標に向けてのステップとなる。
第5回の検討会の資料でリストアップされている新規の哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類は次の通り。
- タイワンザル×ニホンザル
- ポリネシアネズミ
- アカシカ
- タイワンジカ
- サンバー
- アカゲザル×ニホンザル
- 口永良部島のヤクシマザル
- カワラバト(ドバト)
- サンジャク
- ハッカチョウ
- インドハッカ
- 鹿児島県奄美・トカラ列島及び沖縄県沖縄諸島・大東諸島のキジ
- 野生化したバリケン
- 野生化したアイガモ
- 野生化したアヒル
- 特定外来生物のハナガメ交雑種(ハナガメ×ニホンイシガメ、ハナガメ×ミナミイシガメ、ハナガメ×クサガメ)
- ニオイガメ属
- ニホンヤモリ
- ホオグロヤモリ
- 自然分布域外のクサガメ
- クサガメ×ニホンイシガメ(ウンキュウ、イシクサガメ、イシクサ)
- オオサンショウウオ属の全種(オオサンショウウオ、チュウゴクオオサンショウウオ及びその交雑個体を除く)
- ホンコンシロアゴガエル
- オオサンショウウオ属の交雑個体
また、検討会では「ノネコ、ノイヌは生物名でそれぞれイエネコ、イヌと書くべき」との意見など、保留事項などの討議があった。
生態系被害防止外来種リストの見直しに係る検討会のメンバーは次の10名(五十音順、敬称略)
- 安部哲人(日本大学)
- 石井 実(大阪府立大学名誉教授、地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所)
- 石橋 徹(いのかしら公園動物病院)
- 岩崎敬二(奈良大学)
- 小林達明(千葉大学名誉教授)
- 川上和人(国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所)
- 中井克樹(滋賀県立琵琶湖博物館)
- 西田智子(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)
- 細谷和海(近畿大学名誉教授)
- 亘 悠哉(国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所)