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■「食品衛生法」の改正へ 厚生労働省

2025-10-30 16:43 掲載 | 前の記事 | 次の記事

厚生労働省は、2025年10月23日、「第4回厚生科学審議会食品衛生監視部会」を開催した。

「食品衛生法」は2018年に改正されたが、施行から5年が経過し、さらなる改正に向けて動き始めた。年内にさらに2回の会合で議論を深め、来年には改正案を示す予定。

今回の会合は、改正に向けてのキックオフという位置づけ。厚生労働省は改正に向けて整理した以下の要点を示した。

1.広域的な食中毒事案への対策強化

国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のため、相互に連携や協力を行うこととするとともに、厚生労働大臣が、関係者で構成する広域連携協議会を設置し、緊急を要する場合には、当該協議会を活用し、対応に努めることとする。

2.HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化

原則として、すべての食品等事業者に、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施を求める。ただし、規模や業種等を考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理とする。

3.特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集

健康被害の発生を未然に防止する見地から、特別の注意を必要とする成分等を含む食品について、事業者から行政への健康被害情報の届出を求める。

4.国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備

食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみ使用可能とするポジティブリスト制度の導入等を行う。

5.営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設

実態に応じた営業許可業種への見直しや、現行の営業許可業種(政令で定める34業種)以外の事業者の届出制の創設を行う。

6.食品リコール情報の報告制度の創設

営業者が自主回収を行う場合に、自治体へ報告する仕組みの構築を行う。

7.その他

(乳製品・水産食品の衛生証明書の添付等の輸入要件化、自治体等の食品輸出関係事務に係る規定の創設等)

また、小林製薬株式会社の「紅麹事案」を踏まえて、サプリメントの規制についても議題となった。

委員からは、「現在、HACCPを行っている117業種は適切なのか」「県境を越えるキッチンカーの営業許可の実態は?」「サプリメントの定義は重要」などの発言があった。

また、消費者庁管轄との区分けについての発言があり、事務局の厚生労働省は同省の管轄は現在では「監視」となっていると述べ、次回以降の資料でその区分を明確に示すと答えた。

厚生科学審議会食品衛生監視部会の委員は以下の16名(五十音順、敬称略)。

  • 阿部 徹(一般財団法人食品産業センター)
  • 落合由嗣(日本獣医生命科学大学)
  • 吉川肇子(慶應義塾大学名誉教授)
  • 近藤麻子(日本生活協同組合連合会)
  • 齋藤嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 鈴木敏之(北里大学)
  • 瀧本秀美(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)
  • 伊達千晶(川崎市健康福祉局)
  • 土肥富有子(神奈川県食肉衛生検査所)
  • 戸部依子(公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会)
  • 原田大樹(京都大学)
  • 藤田利枝(久留米市保健所)
  • 藤原慶正(公益社団法人日本医師会)
  • 道野英司(公益社団法人日本食品衛生協会)
  • 森 信二(公益社団法人日本輸入食品安全推進協会)
  • 脇田隆字(国立健康危機管理研究機構)