HOME >> JVM NEWS 一覧 >> 個別記事
農林水産省が2025年9月11日~9月12日に開催した「第66回全国家畜保健衛生業績発表会」では、流行性出血病ウイルス血清型6について、以下の3つの事例報告があった。
- 流行性出血病ウイルス血清型6感染牛の臨床的特徴と血中ウイルス遺伝子検出期間の分析
- 加地理紗先生(兵庫県淡路家畜保健衛生所)
- 流行性出血病ウイルス血清型6の関与を疑う黒毛和種の嚥下障害事例と疫学調査
- 福岡 恒先生(山口県中部家畜保健衛生所)
- 流行性出血病ウイルス血清型6による嚥下障害等の発生とウイルスの流行状況調査
- 古庄幸太郎先生(熊本県中央家畜保健衛生所)
流行性出血病ウイルス(EHDV)はヌカカなどで媒介されるアルボウイルス感染症の1つ。従来から血清型2のイバラキウイルスの感染が問題となっていたが、2015年には兵庫県で血清型6の感染がみられるなど、以降、西日本で血清型6と7が牛から検出されるようになっている。農林水産省が発表している「家畜伝染性疾病サーベイランス年報」によると、2023年度のEHDV遺伝子検査では、9月に熊本県と宮崎県で、11月に長崎県、熊本県、鹿児島県で検出され、長崎県と熊本県の検体は血清型6型であった(33頁、35頁)。
今回発表された事例の概略は以下の通り。
- 兵庫県
- 県南部で2024年10月~12月に29戸205頭で発生。嚥下障害、異常産、乳量低下がみられ、死亡例もあった。
- 山口県
- 黒毛和牛農家で2024年9月~11月に4頭に嚥下障害がみられた。2023年、2024年とも9月にウイルスが県内に侵入したと推察。
- 熊本県
- 2023年のサーベイランスで検出。保存していた病性鑑定等の材料からも特異遺伝子を検出。9月に県内にウイルス侵入と推察。嚥下障害や早産の子牛の死亡が確認された。