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■不育症の原因に亜鉛が関与〜妊娠の成立には子宮内膜の亜鉛が重要である〜 麻布大学

2025-07-01 15:16 掲載 | 前の記事 | 次の記事

麻布大学は、2025年2月28日、獣医学部 動物繁殖学研究室の川田由以研究員(同大学大学院博士前期課程修了)、同獣医学部 影山敦子特任助教、野口倫子准教授、村上裕信准教授、寺川純平講師、伊藤潤哉教授、柏崎直巳教授、徳島文理大学薬学部病態分子薬理学研究室の深田俊幸教授の共同研究グループが、マウス個体とマウス・ヒト子宮内膜細胞を用いた研究により、妊娠の最初のステップである胚着床には、子宮内膜細胞への亜鉛の取り込みが必須であることを初めて明らかにしたと発表した(参照:麻布大学「プレスリリース」)。

現在、不妊症が大きな社会問題となっており、体外受精などの生殖補助医療技術が不妊治療として用いられているが、出産に至る割合は低いことが知られている。その原因の一つとして不育症(妊娠は可能なものの流産や死産を繰り返す)が考えられており、胚の染色体異常などが原因として考えられているが、母体側の要因は明らかになっていなかった。また、必須ミネラルの一つである亜鉛が体内で不足すると妊娠しにくい状態をもたらすことが知られていたが、亜鉛の詳細な役割もわかっていなかった。

同研究グループは、母体側の亜鉛に着目し、子宮内膜細胞に取り込まれた亜鉛(イオン)が、女性ホルモンであるプロゲステロンの働きに欠かせないことをマウス個体とマウス・ヒト子宮内膜培養細胞を用いた解析により、世界で初めて明らかにした。

研究成果は、米国の国際学術誌「PNAS Nexus」に2025年2月10日付で掲載された。

なお、研究グループはこの研究成果の後、6月20日には「受精後の胚発生には卵子内の亜鉛が重要」という成果を発表した。