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■新製品 ブリ属魚類向けⅢ型α溶血性レンサ球菌症 予防ワクチン「ピシバック注 レンサα3 oil」 共立製薬株式会社​

2025-06-09 17:25 掲載 | 前の記事 | 次の記事

「ピシバック注 レンサα3 oil」

共立製薬株式会社は、2025年5月12日にブリ属魚類向けⅢ型α溶血性レンサ球菌症 予防ワクチン「ピシバック注 レンサα3 oil」の販売を開始したと5月30日に発表した(参照:共立製薬株式会社「ニュース」)。

日本の海面養殖ではさまざまな疾病が問題となっているが、なかでもα溶血性レンサ球菌症はブリ属魚類(ブリやカンパチなど)やシマアジを中心に魚病被害が大きい疾病の1つとされている。

α溶血性レンサ球菌症は1974年に初めて発見された。感染したブリは一般的に出荷できず、養殖業者に多くの経済損失を与えている。

α溶血性レンサ球菌症では、2種類の血清型(Ⅰ型、Ⅱ型)が知られていたが、2021年に新たにⅢ型が確認された。その後、この新たな型による被害が複数の海産魚種で報告されており、広範囲な養殖魚種への被害拡大が懸念されている。このⅢ型は既承認ワクチンでは予防できないことが同社実施の試験で明らかになり、新ワクチンが開発された。

「ピシバック注 レンサα3 oil」は、同社の既承認ワクチン同様、ブリ属魚類の腹腔内に注射する。同ワクチンにより、血清型に関わらず、現在ブリ属魚類で発生が確認されている全てのα溶血性レンサ球菌症を予防することができる。

また、カンパチにも使用可能なオイルアジュバントワクチンであることから、水性ワクチンより免疫持続が期待できる。

販売前の2025年3月17日~18日に開催された日本魚病学会春季大会で、Ⅲ型のα溶血性レンサ球菌症原因菌において薬剤耐性菌株の出現が報告された。新ワクチンによる予防対策の普及は、薬剤耐性(AMR)対策にも寄与することが期待される。

共立製薬株式会社は「これからも安心・安全な養殖魚の生産に貢献すべく、日本の水産養殖における魚病対策に挑戦し続けます」とコメントしている。