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■東京都獣医師会はどのような活動を行っているか

2025-06-10 15:25 掲載 ・2025-06-10 16:48 更新 | 前の記事 | 次の記事

総会に先立ち挨拶を述べる会長の上野弘道先生

公益社団法人東京都獣医師会は、2025年6月8日、第14回定時総会を都市センターホテルおよびオンラインで行った。

古賀俊伸議長のもと、報告事項が2件の後、審議事項4件が討議され、採択された。

ワンヘルスについては都の条例化を目指していることが報告された。また質疑応答の中で、都内でのレプトスピラ感染確認報告に関連して感染症情報の収集のあり方、野鳥のハトなどが動物病院に持ち込まれることに対して、公衆衛生面や雛を拾わせないことについてのさらなる啓発を工夫して欲しいとの要望が出された。

東京都獣医師会の今年度に予定されている公益目的事業の概要をかいつまんで紹介する。

§公益目的事業

◆都民に対して

  • 「日本獣医師会動物感謝デー」で動物救護所を担当。
  • 「全国動物愛護週間中央行事」で小笠原自然環境保護事業のPRや災害対策の啓発等。
  • ワンヘルスの認知に努める。

◆狂犬病予防防疫対策

  • 予防啓発ポスター等の各病院への配布。
  • 予防啓発動画の公開の継続。
  • 会員への知識の継続的な提供。
  • 「犬の狂犬病発症を疑った場合の対応マニュアル」の周知。
  • 「狂犬病予防注射事故対策ガイドライン」の冊子化。
  • 委員会を3回開催し、事業の課題を抽出し、対策を検討する。
  • 予防接種事業、事務委託事業、島嶼へのヘリコプターを使っての会員派遣。

◆災害・感染症対策

  • 災害対策については、平時ではSNSによる会員の安否確認訓練や、防災ブロック長会議の開催、都・区市町村が行う防災訓練への協力。都民への啓発・広報。東京VMATの活動要領や体制の整備。
  • 感染症対策については、発生時の迅速な対応を可能とする体制の構築。人と動物の共通感染症ガイドラインの整備および啓発・広報。発生時には、SNSシステム等を活用し、会員への速やかな情報提供と必要な対策を実施する。

◆獣医公衆衛生対策推進

  • 東京都からの委託による動物由来感染症〔皮膚糸状菌症、疥癬、回虫症、コリネバクテリウム感染症、犬ブルセラ症(犬のみ)、トキソプラズマ症(猫のみ)〕、腸管出血性大腸菌(EHEC)、薬剤耐性大腸菌、SFTSウイルスの疫学モニタリング。
  • 人と動物の共通感染症に関する獣医師への情報提供、都民への知識の普及啓発。
  • Webサイト上の「人と動物の共通感染症ガイダンス」の周知。

◆学校飼育動物対策

  • 支部事業としての地域の学校、幼稚園、保育園の訪問活動等おける飼育動物の治療、飼育指導等の継続。
  • 学校獣医師養成講座の実施(3回/年、修了証あり)。
  • 日本獣医師会年次大会における学校飼育動物担当者会議への出席。
  • 品川支部による動物飼育作文コンクール。
  • 東京都教育委員会からの委託事業として、小学校動物飼育推進校の動物活用授業開発への支援。
  • 学校飼育動物での感染症発生等の緊急対策の普及啓発資料として制作した動画を獣医師向けに公開し、必要情報の継続的提供。
  • 学校飼育動物が死亡した場合は担当動物病院で死体検案を行い、死因データ等を収集し、必要に応じて関係機関に情報提供する。
  • 遺体は東京都獣医師会霊園協会の協力により埋葬。

◆動物福祉啓発

  • 支部が企画、計画する動物愛護活動、動物フェスティバル、区市民祭りでの啓発活動を特別診療券の提供等で支援。
  • 適正飼養の普及に努める。
  • 動物関連イベントへの参加、長寿犬・猫表彰、高齢者の動物飼育支援、東獣わんバサダー・にゅんバサダーの企画。
  • 企画「飼い主と動物合わせて80歳」。
  • 動物愛護センター新設に伴う取り組みへの働きかけ(東京都Webサイト「動物愛護-法令集・計画等」の「動物愛護相談センター整備基本計画(第一次)」)。
  • 都内で死亡して持ち込まれた動物のマイクロチップデータの読み取りの継続、マイクロチップの実績データ収集、迷子死亡動物の飼い主への返還。
  • 各支部での区市町村助成での猫の不妊去勢手術の実施。
  • 御蔵島村の委託として、同島のノネコ対策。捕獲され、会員病院に搬送された猫の馴化、健康管理、そして希望する方への譲渡。
  • 東京都の委託事業として、飼い主のいない猫の会員動物病院による一時保護と譲渡、その支援体制づくり。

◆医療廃棄物の適正処理活用

安全な取り扱いに関する情報提供や講習会の案内等。

◆身体障がい者支援活動

現金による募金活動を終えることとし、新たな募金形態を検討する。

◆夜間診療活動・マネジメント

留守番電話サービスによる案内、Webサイトによる診療病院の紹介の継続。夜間診療ネットワーク設置の検討。

◆小笠原自然環境保護活動

  • 捕獲されたノネコを会員動物病院で受託し、馴化、健康管理の上、譲渡していく事業の継続。父島でのノネコ対策はほぼ終了しており、母島での対策が課題となっている。
  • 父島の小笠原世界自然遺産センター等と連携し、小笠原における在来種対策、外来種対策、ノネコ対策、伴侶動物の適正飼養啓発等の活動が円滑に進むように視察等を行う。協議会に参加して支援を継続。
  • 小笠原自然遺産の希少種や繁殖地保護・保全に関する知識の普及啓発活動。

◆傷病野生鳥獣保護活動

  • 東京都の委託「傷病野生鳥獣保護活動事業」の継続。今年度は220頭羽の予定。
  • カラスや巣立ち雛等については、同会の予算・支出により実施。100頭羽の予定。

◆学会・講習会活動

  • 関東・東京合同地区獣医師会への幹部派遣。
  • 地区大会受賞者の全国大会への派遣等を補助。
  • アジア小動物獣医師会(FASAVA)と連携し、アジアにおける学術振興を図る。FASAVA2025(韓国・大邱)に担当理事、役員が参加。今年度よりFASAVAでの発表が決定した会員を対象とした支援がスタート。

◆広報活動

  • 年4回の機関誌「東獣ジャーナル」の発行(2回は紙媒体、2回はウェブ)とWebサイトによる活動の広報。
  • Webサイトのリニューアル。Webページからクレジットカード決済で会費が支払えるようになっている。
  • YouTubeの「公式チャンネル」に、「東京都獣医師会PV(4:04)」を掲載。一般の方に向けて獣医師の職域の紹介など。

◆家畜衛生防疫対策

産業動物委員会の設置。都下における畜産事業に関する情報交換。

◆医療事故防止セミナー

東京都からの委託を受け、獣医師育成対策事業として獣医療広告について検討。