JVMNEWSロゴ

HOME >> JVM NEWS 一覧 >> 個別記事

■訃報 山根義久先生 逝去

2025-01-10 12:23 | 前の記事 | 次の記事

在りし日の山根義久先生(2010年8月撮影)

公益財団法人動物臨床医学研究所の前理事⾧ 山根義久先生が2025年1月7日に死去された(公益財団法人動物臨床医学研究所Webサイト お知らせ「山根義久儀 前理事長の訃報について」)。享年81歳。

通夜が1月10日17時から倉吉市のご自宅で、告別式が1月11日13時から人と動物の未来センター・アミティエ(倉吉市下福田706-127)で営まれる。喪主は妻の山根和子さん。後日、お別れの会が開かれる予定。

山根義久先生は地元の鳥取大学卒業。医学博士、獣医学博士。山根動物病院を開業後、症例・臨床研究の重要性に鑑み「動物臨床研究グループ」を立ち上げ、1980年には第1回年次大会を開催し、小動物臨床研究会、財団法人鳥取県動物臨床医学研究所、公益財団法人動物臨床医学研究所と組織を発展的に改組し、獣医臨床に多大な足跡を残した。ご自身の研究では、いち早く開心術に取り組むなど、特に循環器分野に多大な功績を残している。

また、東京農工大学の獣医外科学の教授、日本獣医師会会長など、教育界における人材育成、獣医界全体の改革にも取り組まれた。

現在のコア・カリキュラムや参加型実習に基づく獣医学教育の体制づくりの元となった文部科学省の「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」(2009年~2011年)には、日本獣医師会会長かつ東京農工大学教授として委員を務め、獣医学教育改善にも尽力された。

また人と動物のよりよい共存・共生をめざす「人と動物の会」を設立し、実践施設である「人と動物の未来センター“アミティエ”」を2013年に設置し、動物福祉活動に取り組まれた。

文永堂出版が発行していた月刊誌「獣医畜産新報(JVM)」においては、1988年4月号から1989年3月号までの1年間にわたる「私の診療シリーズ/小動物の胸部外科」の連載のほか、多くの原稿を執筆いただき、また企画立案のご指導をいただいた。

ハスキーボイスの山根先生の数々のお話が思い出される。獣医学や教育分野のみならず、地元で農業を営まれるなど、経験に基づかれた信念は、皆を魅了するもので、多くを牽引し、獣医学の発展に寄与された。(記:松本 晶)