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■【寄稿】「ウィスコンシン酪農セミナー2024」報告-(1)

2024-12-03 17:17 | 前の記事 | 次の記事

酪農セミナー2024の会場となったウィスコンシン大学

「ウィスコンシン酪農セミナー2024」が、2024年10月21日(月)~25日(金)に行われました。その報告記を4回にわたり掲載します。1回目は岩手大学名誉教授の佐藤 繁先生とともにセミナーの発起人代表の渥美牛群管理サービス代表の渥美孝雄先生によるセミナーの概要です。その後に参加の3先生による報告記が続きます。

渥美牛群管理サービス株式会社 渥美孝雄

私は以前から、北米における酪農の最新情報や最新技術を習得し、それらの情報と技術を顧客にお伝えして経営の安定と改善を支援する目的で、開業獣医師仲間とともに毎年のように出かけていました。そのような折、旧知の友人である佐藤 繁先生から、「若い獣医師育成のために協力してくれ」との熱心な誘いを受け、今回の「ウィスコンシン酪農セミナー2024」に参画することになりました。

2024年春、いくつかの雑誌に以下の案内を掲載して貰いました。「本セミナーは、我が国の次世代の畜産業を担う若手の臨床獣医師を対象として、北米における最新の酪農、畜産および臨床獣医学の技術と知識、さらに酪農現場に接する機会を提供し、これによって我が国の酪農、畜産および臨床獣医学が進むべき方向、また、臨床獣医師として自分が選ぶべき道を考える機会にして頂くことを目的に実施します。」

2024年10月21日、羽田国際空港第3ターミナルに集合した参加者は、総勢19名にのぼりました。折からの円安の影響で航空券や合衆国での経費が著しく高騰している中で、本当に多くの先生方が参加してくれました。参加者は臨床歴2年から15年程度まで様々で、実際にNOSAIや開業組織で活躍している先生方でした。

10月21日(月、現地時間)から25日(金)までの5日間、ウィスコンシン大学のAnimal and Dairy Sciences学部とVeterinary Medicine学部において、5名の講師から最新情報に関する講義を受けました。

講義のテーマは「乳牛の繁殖管理」、「乳牛の飼養・栄養管理と最近の話題」、「子牛の健康管理、免疫と腸内細菌叢」、「ゲノミック育種と生産性の向上」および「子牛・育成牛の管理」です。また、大学付属大動物病院と診断ラボのほか、バスで移動して計3つの大型農場を視察しました。セミナーのスケジュールは以下の通りです。

§スケジュール

  • 10月21日(月)午前
  • 講義1 乳牛の繁殖管理
  • Dr.Paul Fricke
    (Professor and Extension Specialist –Dairy Reproduction Department of Animal and Dairy Sciences)
  • 10月21日(月)午後
  • 農場視察1(Crave Brothers)
  • 10月22日(火)午前
  • 講義2 乳牛の飼養・栄養管理と最近の話題
  • Dr.Luiz Ferraretto
    (Assistant Professor and Extension Specialist, DairyNutrition Department of Animal and Dairy Sciences)
  • 10月22日(火)午後
  • 講義3 子牛の健康管理、免疫と腸内微生物叢
  • Dr.Lautaro Cangiano
    (Assistant Professor, Department of Animal andDairy Sciences)
  • 10月23日(水)午前
  • 講義4 ゲノミック評価と生産性の向上
  • Dr.Francisco Penagaricano
    (Associate Professor(Research andTeaching),Department of Animal and Dairy Sciences)
  • 10月23日(水)午後
  • 農場視察2(Larson Acres)
  • 10月24日(木)午前
  • 講義5 子牛・育成牛の管理
  • Dr.Terri Ollivett
    (Associate Professor, Department of Medical Sciences,UW-School of Veterinary Medicine)
  • 10月24日(木)午後
  • 農場視察3
    (Dr.Terri Ollivettの検診に同行 BlueStar Dairy Farms)
  • 10月25日(金)午前
  • 獣医学部病院視察
  • 10月25日(金)午後
  • 自由行動

そもそも同じ志を持った臨床獣医師の集まりですので、参加者はすぐに打ち解けて楽しい時間を過ごすことができたようで、私にとっても若い獣医師にとっても極めて有意義なセミナーだったと思います。

今回は、参加者に分担執筆して頂いた原稿を「セミナー報告」としてまとめました。このJVM NEWSでは「乳牛の飼養・栄養管理と最近の話題」と「子牛・育成牛の管理」の講義、また、「大学付属大動物病院と診断ラボ」の視察について紹介します。

なお、本セミナーは、来年も10月に「ウィスコンシン酪農セミナー2025」として開催する予定です。2025年春には開催案内をしますので、多くの先生方に参加して頂きたいと思っています。

なお、本セミナーの開催に当たり、以前から親交のあるロスアンゼルス在住の鷲山順慈先生に多大なご協力を頂きました。また、共立製薬株式会社様には多大なご協力とご支援を賜りました。この場をお借りして深く感謝いたします。