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■がんの免疫療法の拠点が所沢市に完成 日本小動物医療センターに「どうぶつトランスレーショナルリサーチセンター」が設置

2024-08-06 15:38 | 前の記事 | 次の記事

手前が新棟

「どうぶつトランスレーショナルリサーチセンター」。写真には写っていないが、クリーンベンチ、リアルタイムPCR装置、ブロッティング装置等もありDNA蛋白関係の研究設備が揃っている。

新棟の腫瘍科の診察室入口。カラフルに明るくデザインされている。廊下は犬がすれ違うことができる幅がとられている。

公益財団法人日本小動物医療センターは、2024年8月5日、「どうぶつトランスレーショナルリサーチセンター(Integrative Center for Animal Translational Resarch, iCAT)」をオープンさせた。8月1日、2日に行われた内覧会には、100名近くの関係者が見学を行った。

従来の棟の隣に新たな棟を建て、1階に附属日本小動物がんセンターの診察および腫瘍内科等の機能を移し、2階に「どうぶつトランスレーショナルリサーチセンター」を設置した。

「どうぶつトランスレーショナルリサーチセンター」には、山口大学の水野拓也先生と伊賀瀬雅也先生が着任し、従来より両先生が行っている「免疫チェックポイント分子に対する抗体療法」などがんの免疫療法の研究、臨床を行っていく。両先生とも山口大学に在籍したままで、水野先生は山口大学細胞デザイン医科学研究所の副所長を務めており、今後、山口大学との共同研究による成果も期待される。設備、機器は大学設備に引けを取らない充実したものとなっている。これで山口大学、北海道大学に続く獣医療におけるがんの免疫療法の3番目の拠点ができたことになる。

「どうぶつトランスレーショナルリサーチセンター」には、水野先生、伊賀瀬先生のほか、2名のスタッフが着任し、また大学院生1名も加わる予定。

内覧会に訪れた石田卓夫先生(赤坂動物病院)は、「リーダーの能力、この設備を持ってすれば世界をリードする研究ができる。あとは、充実したスタッフと継続した資金が必要だろう」と語った。水野先生はスタッフについて「がんの免疫療法などの研究に興味のある獣医師はぜひ声をかけて欲しい。週末だけの参加でもかまいません」と呼びかけている。

日本小動物がんセンター センター長の小林哲也先生は「iCATが加わり、最先端の免疫療法を新たな治療選択肢として導入することになりました。これにより、従来のがん治療の限界を超える可能性が広がります」と述べている。

水野先生、伊賀瀬先生は日本小動物がんセンターでの診療も行い、同センターの腫瘍内科は、小林哲也先生の第1腫瘍科、原田慶先生の第2腫瘍科、水野先生の第3腫瘍科(免疫治療科)の3科体制となった。