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日本獣医内科学アカデミー第20回学術大会で研究アワード(JVM賞)を受賞した平尾雅貴先生にコメントをいただいた。
- 受賞研究テーマ:
- 「イヌ高悪性度消化器型リンパ腫の予後改善に向けた薬剤スクリーニングによる新規治療薬候補の探索」
- 平尾雅貴(大阪公立大学小動物臨床医学教室)
この度は、日本獣医内科学アカデミー第20回学術大会の研究アワードにご選出いただき、誠にありがとうございました。また、大会開催に向けてご尽力いただいた実行委員、審査員および文永堂出版の皆様に心より御礼申し上げます。
私が研究しているイヌ高悪性度消化器型リンパ腫は生物学的挙動が悪く、効果的な治療法も確立されておりません。日常診療の中で大部分の症例が治療の甲斐なく、診断後早期に死に至る光景を目の当たりにして、我々の研究グループでは本疾患に対する病態解析や新規診断法・治療法の開発を行っております。今回受賞対象となった研究では、イヌ高悪性度消化器型リンパ腫細胞株を用いて薬剤スクリーニングを行い、その中から新規治療薬候補を見出すことで、予後改善の糸口を掴むことを目的としました。その結果、線虫の駆虫に利用されるベンズイミダゾール誘導体のOxibendazoleが細胞周期停止やアポトーシス誘導により、顕著な抗腫瘍効果を示すことが明らかになりました。
今後、臨床応用に向けて担癌モデルマウスを用いた実験やイヌにおけるOxibendazoleの至適用量の検討などを進める予定です。獣医療の発展に貢献できるよう精進してまいりますので、今後もご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
- 参考ニュース記事:
- JVM NEWS 2024-02-26「獣医内科学アカデミー学術大会 JVM賞に大阪公立大学の平尾雅貴先生と東京大学の並木裕人先生」