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環境省と農林水産省は、2023年12月15日、「令和5年度第2回獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会合同会合」を環境省内の会議室で行い、愛玩動物看護師の職責・役割を中心とした討議がなされた。
愛玩動物看護師へのヒアリングが第1回目の合同会合に続いて行われた。7月21日に行われた第1回目の会合では、苅谷動物病院グループ江東総合病院の看護師長 赤間絵美さんが招かれ、首都圏の大きな動物病院に勤務する愛玩動物看護師の状況が報告されたが(参照:JVM NEWS 2023-08-10「愛玩動物看護師の職責・役割 審議が進む」)、今回は北海道足寄町の「犬と猫の診療所」に勤務する三本佳枝さん(参照:十勝毎日新聞オンライン記事)へのオンラインでのヒアリングで、地方の動物病院での状況が確認された。
三本さんは国家資格を得て飼い主が合格を喜んでくれたと述べ、そして飼い主からの信頼が増したと報告した。足寄町は住宅が比較的集まっており、動物病院から車で10分ほどで、どの飼い主宅も訪ねることができる。飼い主が高齢のため車で来院できない場合もあり、動物の訪問介護を行っている。薬を運ぶほか、食事補助、体位変換や褥瘡処置なども行う。今までは「先生に聞いておいて」と言われていたのが、「どう思う」と意見を聞かれたり、相談を受けることも多くなり、信頼が増したことを実感しているとのこと。また受験勉強では、今まで経験していたことが「こんなことだったのか」ということが分かったと受験そのものも役立ったと述べた。
委員からは「地方にも愛玩動物看護師の国家資格のことが根付いていることが実感できた」「人のケアマネージャーと連携して高齢社会を守る役割を担う存在になれるのでは」との発言があった。また委員会の座長を務める西村亮平先生(東京大学)は「国家資格化されて変わっていく中で、信頼は大きなキーワードである」と述べた。
横田淳子委員(一般社団法人日本動物看護職協会会長)は、2023年10月の「第13回動物看護大会」と11月の「第44回動物臨床医学会年次大会」で行った「愛玩動物看護師の現在 実地調査」の結果を報告した。参加者に声をかける形で国家資格後の変化に対するアンケート調査で、「給料があがった62%」、「採血を任される76%」「留置針を留置した62%」「尿道カテーテルができる33%」などの結果。また動物看護記録を導入しているかとの問いには52%が「はい」と回答している。動物看護記録について、浅野明子委員(高木國雄法律事務所弁護士)は「看護記録は日本語としてわかりやすく書いてあり、事実の実証として使いやすい。動物病院を守ることにも役立ち、記録をとることを推奨してもらいたい」と述べた。
合同会議では、「新たな国家資格としての愛玩動物看護師のあり方に関する検討報告書案」が提示された。