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農林水産省と公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会は、2022年10月14日、令和4年度(第23回)「民間部門農林水産研究開発功績者表彰」の受賞者を発表した。36件の応募から農林水産大臣賞1件、農林水産技術会議会長賞3件、公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会会長賞2件が選ばれた。表彰式は10月27日(15:00~16:30)、東京ビッグサイトで行われているアグリビジネス創出フェア2022の会場内で行われる。
受賞者と受賞業績は以下の通り(敬称略)。
【農林水産大臣賞】
- スケソウダラのロコモーション改善機能性研究、並びに、社会実装
- 杉山公教、柳本賢一、内田健志、吉田恵里子、赤松裕訓(日本水産株式会社)
【農林水産技術会議会長賞民間企業部門】
- 天敵の快適住居バンカーシートの開発・普及とw天敵の普及展開
- 中島哲男(元 石原バイオサイエンス株式会社)
- 平岡 正(元 大協技研工業株式会社)
- 吉田潔充、森光太郎(石原産業株式会社)
- Plant-Based Food「ソイレブール」の開発
- 唐谷直宏、高野 寛、宍戸雄亮(不二製油株式会社)
- TMR利用型酪農における生産プロセス一元管理システムの普及
- 川目 剛(計根別農業協同組合)
- 小西昭彦(北海道イシダ株式会社)
- 大野 宏(エゾウィン株式会社)
【公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会会長賞】
- 簡易抽出試料を用いた豚熱・アフリカ豚熱の同時迅速検査法の開発
- 仲尾功一、田上 潤、吉崎美和、中筋 愛(タカラバイオ株式会社)
- 電気刺激を利用した活魚取り扱いシステムの開発と技術普及
- 伊藤 翔(ニチモウ株式会社)
- 池田怜史(西日本ニチモウ株式会社)
- 槌山靖彦(株式会社末松電子製作所)
「TMR利用型酪農における生産プロセス一元管理システムの普及」の業績の評価は以下の通り。
高品質な生乳・乳製品のニーズが高まるなか、TMRセンターにおいては、構成酪農家の規模拡大に伴い、飼料生産やTMR製造の効率化、良質なサイレージ生産、乳生産データと飼料生産履歴データの一元化による生産プロセス管理が必要とされていた。そこで、飼料生産の作業車両位置や作業進捗状況、バンカーサイロ踏圧状態のリアルタイムモニタリングシステム「レポサク」、TMR配合において設定量が自動排出される飼料タンクのシャッター自動開閉装置、サイレージの生産履歴・成分情報と組合員農家の搾乳ロボットデータを紐付けできる生産プロセス一元管理システムを開発した。TMRセンター構成員は相互にこれらの情報を共有し比較検討することで生乳生産プロセスの改善を図ることができ、平均個体乳量は6%向上した。作業の省力化やサイレージ品質の向上により、構成酪農家の飼料コスト低減が見込まれる。
「簡易抽出試料を用いた豚熱・アフリカ豚熱の同時迅速検査法の開発」の業績の評価は以下の通り。
現在、豚熱(CSF)は国内での感染拡大の抑制が、またアフリカ豚熱(ASF)については近隣国からの伝播阻止が我が国の養豚業における最重要の課題となっている。CSFとASFはともに家畜伝染病予防法に定められる家畜感染症で、それぞれの疾病について遺伝子検査の実施が義務付けられている。タカラバイオでは、農林水産省委託研究事業「安全な農畜水産物安定供給のための包括的レギュラトリーサイエンス研究推進委託事業」のうち課題解決型プロジェクト研究「官民・国際連携によるASFワクチン開発の加速化」における国立研究開発法人農研機構との共同研究の成果に基づき、CSFウイルスとASFウイルス遺伝子の同時検出法を開発し、専用試薬を2021年11月に発売した。これらは、国が定める特定家畜伝染病防疫指針の診断マニュアルに記載されている遺伝子検出検査法(リアルタイムPCR法)として、国や都道府県の病性鑑定施設による利用が開始されており、検査者の労力軽減と効果的な防疫措置の実現への貢献が期待される。