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■「ライブセルイメージング技術」を用いた体外受精卵から健康な子牛が誕生

2022-06-24 17:24 | 前の記事 | 次の記事

東京農工大学、近畿大学、扶桑薬品工業、農研機構の研究グループは、2022年6月9日、細胞を生きたまま連続観察する「ライブセルイメージング技術」により染色体分配の様子を捉えた体外受精卵から、健康な子牛を産ませることに成功したと発表した。

この技術により観察した受精卵の半数以上で8細胞期までに1回以上の染色体分配異常が認められ、それらの80%以上が、胚盤胞期に到達する前に発生を停止した。一方、染色体分配異常が認められた受精卵でも、胚盤胞期まで発生すれば、子牛になりうることが分かった。

哺乳動物における受精卵の研究で一般的に用いられるマウスとは異なり、牛は受精卵の大きさが人に似ていること、また、人と同様に染色体異常が起きやすいことから、家畜生産のみならず人の不妊治療において、新たな受精卵の選別技術や指標を提供することが期待される。さらに、分裂初期の染色体分配異常の原因を明らかにし、それを防ぐことができれば出生率の向上に繋がるかもしれない。

同研究成果は、米国の「Biochemical and Biophysical Research Communications(BBRC)」に6月1日に掲載された。