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■JVM賞受賞コメント 阪本晴香さん

2022-03-24 21:03 | 前の記事 | 次の記事

阪本晴香さん(左は担当教員の桃井康行先生)

日本獣医内科学アカデミー第18回学術大会で研究アワード(JVM賞)を受賞した阪本晴香さんにコメントをいただいた。

受賞研究テーマ:

  • 「国内初の猫ヘパドナウイルス感染症例の報告と国内の猫における疫学調査」
  • 阪本晴香(東京大学 獣医臨床病理学)

この度は第18回日本獣医内科学アカデミー学術大会の研究アワードに選出していただき、誠にありがとうございます。また、コロナ禍の中、大会の運営にご尽力くださった皆様に心より御礼申し上げます。

私が研究を行った「ネコヘパドナウイルス」は、ヒトB型肝炎ウイルスと近縁で、2016年にオーストラリアで新たに発見されたウイルスです。その後諸外国で報告がありましたが、国内での報告はありませんでした。発熱とSAA上昇がみられた猫の血漿を用いた次世代シーケンス解析により本ウイルス様配列を検出したことをきっかけに、東京大学附属動物医療センターに来院した国内の猫211頭を対象に疫学調査を行った結果、肝細胞腺腫と診断されていた1頭で陽性が確認されました。

ヒトB型肝炎ウイルスと近縁であることや既報の研究により、本ウイルスは肝臓に対する病原性があることが示唆されていました。本研究でウイルスを検出した2症例においても発熱やSAAの上昇・肝細胞腺腫が見られたことから、ウイルス感染の影響が示唆されますが、本ウイルスの病原性は未解明です。今後、病原性や感染経路などを明らかにする必要があると考えております。

私は4月から学部5年生になるため、引き続き勉学に励んでまいります。また、卒業後は大学院に進学して、研究を行いながら臨床にも携わることが現在の目標です。動物の福祉を向上できる獣医師になり、今後の獣医療の発展に貢献できるよう努めてまいります。

参考ニュース記事:

JVM NEWS 2022-03-07「JCVIM2022アワード受賞者が発表される」