HOME >> JVM NEWS 一覧 >> 個別記事
農研機構は、農林水産省(農林水産技術会議)から委託されたプロジェクト研究「農業分野における気候変動緩和技術の開発」を行っている。2020年12月18日、「畜産分野における気候変動緩和技術の開発」の研究成果発表会を「地球温暖化対策の要請に応える日本の家畜生産」のテーマで開催した。
この畜産分野でのプロジェクトは2017年に開始され、2021年度までのもの。来春に最終年度を迎えるにあたり、その成果が問われる。
日本の取り組み、成果は「日本国温室効果ガスインベントリ報告書(http://www-gio.nies.go.jp/aboutghg/nir/nir-j.html)」にまとめられている。また、2020年1月には「革新的環境イノベーション(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tougou-innovation/)」が策定されている。
日本で温室効果ガスの排出は農業分野から5001万tで約4%(2018年)、そのうち畜産は約30%で、さらにその内訳は以下の通り。
- 乳用牛44.4%
- 肉用牛30.2%
- 養豚15%
- ブロイラー3.4%
- 採卵鶏6.5
日本国内の畜産分野からの排出は消化管内発酵によるメタン、家畜排せつ物管理によるメタンと一酸化二窒素などのほか、農業土壌からの一酸化二窒素と燃料消費等に伴う二酸化炭素の排出等、飼料生産から排せつ物処理に拠るものもあり、生産システム全体からの排出を検討していかなければならない。
農研機構では、上記5畜種の個別経営からの温室効果ガス排出の20%削減を目標としている。
発表会当日は以下の講演と討議が行われた。
- 「日本、世界の畜産業のGHG排出削減の必要性」
- 長田 隆先生(農研機構畜産研究部門)
- 「乳用牛飼養における排出削減策」
- 日向貴久先生(酪農学園大学)
- 「肉用牛飼養における排出削減策」
- 大石風人先生(京都大学)
- 「中小家畜飼養における排出削減策」
- 荻野暁史先生(農研機構畜産研究部門)
プロジェクトのポイントは以下の3つでそれに沿った研究、技術開発が進められている。
- 排せつ物管理における温室効果ガスを削減する乳用牛、肉用牛飼料の研究開発
- 牛の生体・個体差に基づく消化管内発酵由来メタン削減技術の開発
- 畜産システムとしての温室効果ガス削減方策の提示
発表内容によれば20%削減目標に向けての生産システムの確立に手が届きそうな成果をあげている。
報告会のダイジェスト版の動画が後日、公開される予定。