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■訃報 見上 彪先生が逝去

2020-02-12 18:43 | 前の記事 | 次の記事

在りし日の見上 彪先生(1997年、東京大学教授室にて)

東京大学名誉教授で、内閣府食品安全委員会の元委員長の見上 彪先生が、2020年2月5日に急逝された。享年81歳。2月11日に通夜が、翌12日に葬儀・告別式が藤沢市の和田湘南斎場で営まれた。喪主は長男の見上 琢さん。

見上先生は1938年2月に台湾・台北市で生まれた。北海道大学を卒業、同大学で修士号を、そして米国カリフォルニア大学で博士号を取得された。修士論文の表題は「鶏雛の大腸菌に関する研究-特にその血清学的型別」、博士論文の表題は「Tissue culture and serologic studies of the Cal-1 strain of herpesvirus associated with Marek's disease」。

1970年に札幌医科大学の講師に着任、ハノーバー獣医科大学研究員を経て1975年に北海道大学獣医学部の助教授に(家畜伝染病学教室)、1988年に東京大学農学部教授(獣医微生物学教室)に就任された。

東京大学を定年退官後も、帯広畜産大学教授(原虫病研究センター)、日本大学生物資源科学部教授(獣医公衆衛生学研究室)として教育、研究を続けられた。2003年には内閣府食品安全委員会が設置された際に委員に就任し、後に委員長を務め、我が国の食の安全を指導され、2011年に退職された。

見上先生の多大な研究業績に対して1976年に「マレック病ウイルス感染細胞に出現する膜抗原に関する研究」で日本獣医学会賞を、1998年に「ニワトリのマレック病に関する研究」で日本農学会賞・読売農学賞を、そして2003年には「鶏のマレック病の予防に関する総合的応用研究」で日本獣医師会獣医学術奨励賞産業動物部門功労賞を受賞された。また2003年に紫綬褒章、2013年に瑞宝中綬章と二度、叙勲された。

ご自身のみならず門下の先生方の多くは、獣医学、微生物学等各界の要職を務められており、人材育成にも大きな功績を残された。2月12日の告別式で葬儀委員長を務められた堀本泰介先生(東京大学獣医微生物学教室 教授)は「ミカミイズムの継承」と表現し、また「私達に最も影響を及ぼした先生」と弔辞を述べられた。

弊社においては『獣医微生物学』などの監修を司っていただいたが、厳しくも丁寧なご指導で本をつくり上げていただきました。大学時代に打ち込まれたラクビーの話、釣りや狩猟のお話など多彩なお話を酒席でお聞かせいただきました。1998年の夏、最後にお酒をご一緒した際にも叱っていただいたのは、よい想い出となっています。ご自宅で息を引き取られたとのことです。ご冥福を祈念いたします。(松本 晶)