JVMNEWSロゴ

HOME >> JVM NEWS 一覧 >> 個別記事

■Team HOPEが動物看護師の会を設置 会員募集開始

2019-12-06 13:14 | 前の記事 | 次の記事

動物看護師会員募集のパンフレット

冒頭で挨拶を行う太田亟慈先生。その左は川瀬英嗣先生。

会場からの質問に答える西岡賢一先生。その左は大久保文葉さん

ペットの健康診断を推進する獣医師の団体であるTeam HOPE(太田亟慈 代表理事)は、「動物看護師の会」を設置し会員の募集を開始した。同会の委員長には理事の川瀬英嗣先生が就任した。

Team HOPEは動物病院単位での会員登録であるが(現在約1,800動物病院)、動物看護師は個人入会となる。対象は動物病院に勤務する動物看護師で、年会費は無料。

従来より動物看護師向けのセミナーは行われていたが、愛玩動物看護師の国家資格化に向けて、会員組織として情報共有、情報交換を推進し会員の質向上をはかることを目的とする。

2019年12月1日には、先行して関東地区エリアで動物看護師向けのセミナーが東京・フラクシア東京ステーションで行われ、理事の動物病院などから動物看護師が集った。

セミナーでは、始めに太田亟慈先生と川瀬英嗣先生が「動物看護師の会」の設立に関して述べられた。次いで以下の2講演が行われた。

  • 「動物看護師のこれから」大久保文葉さん(大久保動物病院)
  • 「動物看護師のあるべき姿」西岡賢一先生(パル動物病院グループ)

高崎市の大久保動物病院を経営する大久保文葉さんは、認定動物看護師であり臨床検査技師でもある。現状では、動物看護師の認定資格があっても投薬を行うこともできないが、国家資格化されれば、名称・業務の独占ということになり、目に見える責任という形でやりがいのある仕事となる。反面、責任を負うということになり、努力が必要とされ、また人間性が大切となる。社会生活を支える職業としての動物看護師には以下のようなことが必要となるであろうと述べた。

・職場への貢献として以下のようなことの向上が必要

  • 病気の知識
  • 診療の補助
  • 手術の補助
  • 入院動物の管理
  • 外来患者の管理
  • 薬の知識
  • 検査の知識 等

・動物と共に暮らすことへの支援として以下のことへの貢献が必要

  • 動物を迎える時
  • 飼い始めた時
  • 栄養管理
  • 病気の予防
  • 心の教育(しつけ)
  • 繁殖
  • 老齢動物の管理
  • 動物との別れ

・動物専門家として社会生活を支えるということで、以下の場面での病院、ソーシャルワーカー、警察、市役所、旅行会社、不動産会社との連携をはかる

  • 飼い主が高齢になった時
  • 飼い主が病気になった時
  • 家族が増える時
  • 災害時に避難する時
  • 旅行や引っ越しの時

次いで、福岡のパル動物病院グループ(水巻町と飯塚市)総院長の西岡賢一先生が講演した。西岡先生は開業して23年。現在は獣医師8名、動物看護師と他のスタッフ総勢約30名の動物病院を経営している。自身の動物病院での経験を通じて看護師のあるべき姿について述べた。

新たに就職したスタッフには「職業人として、受け身ではなく積極性が大切」ということを伝える。当たり前のことではあるが、とても大切なことで、これができないと職業人としてのランクを上げていくことはできない。外科の医療チームなどは積極性を重視して組織し、その際の教育(例えば器具出しのノウハウなど)もきちんとして、問題が生じないように努めている。

同動物病院では、看護部と獣医部を設置し、それぞれ会議を行っている。合同会議も行い、看護部からのアイデアも多く出されるとのこと。またパピークラスといった看護師が主体となる事業についても、今後は独立採算を目指していくために動物看護師にもビジネス感覚を身に着けていって欲しいと述べた。国家資格を有するようになれば、ますますそういったことが必要で、当然報酬もそれに応じたものになる。

なお、同動物病院の動物看護師3名が2019年8月に「九州どうぶつのための研究会」を設立し(渡邊純也 代表)、動物看護師のための交流の場を組織するなど、看護師スタッフが動物病院の外に向けても活躍の場を広げている。

パル動物病院(http://www.pal-animal.com/)本院では、11月に別館を設置し、九州動物アレルギーセンター、メディカル・スキンサロン、どうぶつ健康診断センターをオープンさせている。