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■プレ ズービキティシンポジウムを開催

2019-10-28 14:07 | 前の記事 | 次の記事

写真 Dr.Mark Stetter

写真 Dr.Gerald Post

 ダクタリ動物病院東京医療センターの加藤 元先生が代表を務めるダクタリ動物病院会が結成50年を迎える。その記念に、2019年10月、プレ ズービキティ(pre zoobiquity)シンポジウムを札幌、大阪、東京で開催した(関連記事https://buneido-shuppan.com/jvmnews/article/jvm20190610-002)。

 10月24日にはシェラトン都ホテル東京で行われ、コロラド州立獣医科大学の学長であるDr.Mark Stetter(米国動物園動物医学専門医)とThe One Health CompanyのDr.Gerald Postが講演を行った。東京会場はダクタリ病院会結成50周年記念大会とJ-HANBSアニュアルミーティングも兼ねる。

 zoobiquityとは人獣共通医療を指す新しい概念で、Dr.Mark Stetterは動物園動物の治療について、Dr.Gerald Postは腫瘍学についてzoobiquity、One Healthの観点から講演した。

 Dr.Mark Stetterは、米国の動物園の多くのゴリラに心疾患がみられ、その診療のために飼育員、獣医師、医療分野の検査技師などが連携していることの紹介や、マラリア薬として獣医分野から出てきたイベルメクチンが医学に応用されている事例などについて述べた。

 Dr.Gerald Postは、がん診療における獣医学から医学への貢献、その逆の医学から獣医学の貢献について、過去、現在、未来に分けて語った。骨髄移植は自家骨髄移植が1988年に、次いで同種骨髄移植が1989年にいずれも犬で行われ、蓄積した犬での症例を元にしてやがて医学でも行われるようになってきた。また患肢温存手術も犬が最初である。ピロキシカムは動物薬として始まり、人でも使用されるようになった。そして、現在では獣医腫瘍学の研究者が人のがんの学会で当たり前のこととして講演を行っている。医学から獣医学への貢献・応用は、過去も現在も大きな流れである。また自身が取り組んでいるオーダーメイド療法についても触れた。犬と人の腫瘍は、組織学的・遺伝学的特徴が似ている、薬物の反応や耐性獲得など様々な事象が似ていることから、zoobiquityがさらに進んでいくだろうと述べた。

 ズービキティシンポジウムは、2020年11月22日(8:00~18:00)、東京大学弥生講堂で行われる。ズービキティ提唱者であるUCLA医療センター心臓専門医のDr.Barbara Natterson-Horowitzが来日講演する。加藤 元先生は「多くの先生方にぜひ参加していただきたい」と語った。