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■パルスNMRで乳牛の乳房炎を早期診断 理研と農研機構

2019-10-28 13:43 | 前の記事 | 次の記事

写真 研究グループの先生方(写真提供:農研機構)。左より長澤裕哉先生、横田秀夫先生(理研)、林 智人先生(農研機構)、田島右副先生、三上 修先生(農研機構)、菊 佳男先生

 理化学研究所(理研)光量子工学研究センター先端光学素子開発チームの田島右副 専任研究員、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)動物衛生研究部門の菊 佳男 上級研究員、長澤裕哉 研究員らの共同研究チームは、2019年10月24日、乳汁を小型のパルス核磁気共鳴装置(NMR)で観測をすることで、黄色ブドウ球菌(SA)感染による乳牛の乳房炎を簡便かつ迅速に診断できることを発見したと発表した。

 共同研究チームは、パルスNMRを用いた乳汁のスピン-スピン緩和時間の測定により求めた乳汁に含まれる微粒子の比表面積と、乳房炎の炎症症状の指標である乳汁中の体細胞数の関係を調べた。その結果、SAに感染した乳房の乳汁の比表面積は、健常乳房の乳汁よりも低い値を示すことが分かった。これは、乳房内でSAが増殖する際に、乳酸発酵によって乳蛋白質(主にカゼイン)の微粒子が凝集し、見かけの比表面積が減少したからだと考えられる。これにより、SA増殖の初期段階を察知することができ、乳房炎の早期治療が可能になる。

 この成果は原因菌の増殖そのものを検知するため早期に乳房炎発症の予兆を察知できるものだが、さらに、超小型NMRを搾乳機に直接設置し、乳房ごとの比表面積値を搾乳時にモニターすることで、酪農作業の省力化や生産性向上にも役立つだろう。また、NMRによる乳汁検査でSA感染以外の乳房炎(乳酸発酵を行わない無菌性の乳房炎など)に対しても判別可能になるものと期待できる。今後は、さまざまな乳房炎要因に対してデータを採取し、機械学習や人工知能(AI)と連動させ、信頼性の高い乳房炎検査技術に発展させたいとのこと。

 研究成果は10月26日仙台市で開催された「第24回日本乳房炎研究会学術集会」(https://buneido-shuppan.com/jvmnews/information/kaisai/kai20190816-01)で発表された。

  • 問合せ:理化学研究所光量子工学研究センター 先端光学素子開発チーム
    専任研究員 田島右副先生
    Tel 048-467-4103
    Fax 048-462-1583