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第162回日本獣医学会学術集会野生動物分科会の一般演題で、2019年9月12日、竹鼻一也先生(市原ぞうの国)が「LAMP法によるゾウ内皮向性ヘルペスウイルス1型(EEHV1)の迅速・高感度検出」について発表した。
EEHV1はゾウに死をもたらすこともある疾患で、2019年1月には沖縄こどもの国で飼育していたインドゾウが同疾患が原因で死亡している。タイでは15年間で60頭ほどが死亡しているという。
同疾患の診断にはPCR法が用いられているが、同法だと特殊な機器が必要で、高い経費もかかる。そこで竹鼻先生らの研究グループは、LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法の有用性について検討した。
沖縄こどもの国で死亡した個体の血液と市原ぞうの国の20検体を用いて、EEHV1の遺伝子の検出を試み、さらに Reed and Muench法で検出限界を試みた。
LAMP法とPCR法はともに死亡個体の検体のみ陽性を示した。またLAMP法のほうが高感度であった。それらの結果から、LAMP法がPCR法に代わる簡易診断法として、現場でより有用であると述べた。今後はより多くの陽性サンプルでの検討、特に致死的なタイプの検体での検討が必要であるとのこと。
また座長の大沼 学先生は「より現場で使いやすくするために、前処理の簡便化も検討して欲しい」と述べた。
発表演題のグループは以下の通り。
- 竹鼻一也先生(市原ぞうの国)
- 金城輝雄先生(沖縄こどもの国)
- 根本 学先生(日本中央競馬会競走馬総合研究所)
- 松野啓太先生(北海道大学)