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■日本とOIE アフリカ南部地域の家畜衛生・人獣共通感染症対策で協力

2019-09-02 18:37 | 前の記事 | 次の記事

協力趣意書の調印を終えて。左より阿部俊子 外務副大臣、加藤 宏 JICA理事、Dr. Jean-Philippe Dop、高野光二郎 農林水産大臣政務官

会場の様子。檀上は左より喜田 宏先生、戸田隆夫先生、Dr. Jean-Phillippe Dop、Dr. Karim Tounkara、スクリーンに映っているのはビデオ参加のDr.Victor Mukonka。壇の左は司会を務めた釘田博文先生(左)とDr. Lesa Thompson(右)

 国際獣疫事務局(OIE)と外務省・独立行政法人国際協力機構(JICA)は2019年8月28日、パシフィコ横浜にて、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)横浜開催2019(2019年8月28日~30日)のサイドイベントとして「Japan & OIE Collaboration Program」を開催した。

 従来より、OIEとJICAは特にアジア地域で連携し、家畜衛生の問題などに取り組んできた実績がある。このTICAD7開催をきっかけに、外務省の阿部俊子 外務副大臣のバックアップのもと、アフリカ南部地域の10か国の家畜衛生や人獣共通感染症対策について両組織が協力していくこととなった。

 イベント当日は、阿部俊子 外務副大臣と農林水産省の高野光二郎 大臣政務官の挨拶に始まり、次いで協力趣意書の調印式が行われた。協力のねらいは該当地域における人材育成、獣医サービスの提供・その技術向上、総合的な保健システムの強化。

 続いて、今回の連携に関して関係者からのコメントやパネルディスカッションが行われた。司会を務めたのはOIEアジア太平洋地域事務所の釘田博文先生とDr. Lesa Thompson。発言をされたのは以下の先生方(敬称略)。

  • Karim Tounkara(OIEアフリカ地域事務所)
  • Lesa Thompson(OIEアジア太平洋地域事務所)
  • Jean-Phillippe Dop(Deputy Director OIE)
  • 戸田隆夫(JICA)
  • 喜田 宏(北海道大学)
  • Victor Mukonka(ザンビア健康保健省)スカイプによるビデオ参加

 今回のプロジェクトの概要は、ザンビア大学獣医学部を中心として、同国と周辺9か国のネットワークを強固にし、さらにOIEの世界的なネットワークに組み込んでいくというもの。ザンビア大学獣医学部については北海道大学(獣医学部、人獣共通感染症リサーチセンター)がその設立に関与し、長年技術協力、人材育成を行ってきた実績がある。JICA、OIEの協力のもと、各国の検査官や行政官を対象にザンビア大学関係者やOIEの専門家による研修を行い、ネットワークを構築していく。参加国はザンビアのほか、マラウイ、ジンバブエ、モザンビーク、エスワティニ、レソト、南アフリカ、ボツワナ、ナミビア、アンゴラで、研修の参加者が自国での人獣共通感染症の対策に取り組んでいく。

 Dr. Tounkaraは「サーベイランスシステムの構築や獣医サービスの協力に期待したい」と述べた。今回の参加国の地域はOIEのコラボレーティングセンターやレファレンスラボラトリーの空白地帯も多く、Dr. Tounkaraは「今回の参加国には感染症の拠点となる施設もある。それらが、OIEコラボレーティングセンター・レファレンスラボラトリーになっていけば」とプロジェクトへの期待を寄せた。

 戸田先生は「年間22億人が人獣共通感染症にかかり、240万人が命を落としている。この問題は途上国の問題としてとらえるのではなくグローバルな問題で、かつ医療という側面からだけではなく経済的な面もある」とプロジェクトの意義を語った。

 喜田先生は34年間のザンビア大学獣医学部への支援の概要を述べ、「まず目標があり、それを達するためには知識・技術だけでなくハートが重要」と自身の活動に裏打ちされた言葉を語った。

 「食の安全」でOIEコラボレーティングセンターとなっている酪農学園大学の蒔田浩平先生は「日本のコラボレーティングセンターをこの取り組みに組み込んでもらいたい」とプロジェクトへの関心を示した。

 Dr. Jean-Phillippe Dopは最後に「新しいパートナーシップが長く実り多いものになるように」と締めくくった。

 なおアフリカで最も報告件数が多い人獣共通感染症は、人も動物も狂犬病である。

補足
 OIEと農林水産省消費・安全局動物衛生課は、2019年9月2日~9月6日に「第31回OIE3アジア・極東・太平洋地域総会」を仙台国際センターで開催する。