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■7大学防疫コンソーシアムシンポジウムが行われる

2019-07-26 19:41 | 前の記事 | 次の記事

シンポジウムにて。奥は冒頭に挨拶を述べる三澤尚明先生。奥右は今回のシンポジウムをコーディネートした水谷哲也先生。

 「7大学防疫コンソーシアムシンポジウム」が、2019年7月25日、東京農工大学で開催された。2018年12月に宮崎大学で行われたキックオフシンポジウムに次いで2回目の開催。前回の4大学(東京農工大学、鳥取大学、宮崎大学、鹿児島大学)から3大学増えて、7大学での開催となった。

 7大学防疫コンソーシアムを形成している組織は次の通り。

  • 北海道大学大学院獣医学研究院寄生虫学教室
  • 東京農工大学農学部附属国際家畜感染症防疫研究教育センター(CEPiA)
  • 麻布大学獣医学部産業動物診療部門
  • 岐阜大学応用生物科学部附属家畜衛生地域連携教育研究センター(GeFAH)
  • 鳥取大学農学部附属鳥由来人獣共通感染症疫学センター(AZRC)
  • 宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター(CADIC)
  • 鹿児島大学共同獣医学部附属越境性動物疾病制御研究センター(TAD)

 このコンソーシアムの形成は、2018年2月に行われた「平成29年度日本獣医師会学術学会年次大会」においてCADIC(宮崎大学)が主催したシンポジウム「攻めの感染症防疫-最前線の取組み-」の中で、国内における有事に備えた国内の共同研究体制と連携出動体制を整備する重要性が提起されたことに端を発する。CADICのセンター長である三澤尚明先生らがシンポジウムで発表した大学などに呼びかけ、これに応じたCEPiA(東京農工大学)、AZRC(鳥取大学)、TAD(鹿児島大学)の4大学で設立された。さらに呼びかけた結果、北海道大学、麻布大学、岐阜大学が加わり、7大学防疫コンソーシアムが結成された。幹事長は三澤尚明先生が務める。コンソーシアム内の組織は、研究情報を共有し、共同研究や事業などに取り組む。各組織の強み(得意な検査、得意な解析など)を生かし、研究の効率化、確実性を高めることや、コンソーシアムでのアプローチにより研究助成の獲得にも強みを発揮できるのも狙い。また家畜の感染症の発症に対して今まで大学は静観しているのみであったが、コンソーシアムとして、防疫に対して科学的根拠に基づいた客観的な検証を行っていくことも視野に入れている。

 第2回目のシンポジウムは、CEPiAの水谷哲也先生のコーディネートで、東京農工大学府中キャンパス50周年記念ホールで行われた。7大学から参加した先生方や東京農工大学の関連する教員、スタッフや学生が参加した。各大学からそれぞれの組織の現状や「コンソーシアムの中で何ができるのか」などの視点も交えての発表があり、活発な討議が行われた。

 発表内容と演者は以下の通り(敬称略)。

  • 「海外と国内の防疫コンソーシアムについて」
  • 岡林環樹(宮崎大学)
  • 「牛白血病清浄化対策」
  • 目堅博久(宮崎大学)
  • 「TADの概要とSFTSの検査状況」
  • 松鵜 彩(鹿児島大学)
  • 「AZRCの概要とニューカッスル病ウイルスの水禽に対する病原性に関する研究」
  • 伊藤啓史(鳥取大学)
  • 「GeFAHの概要」
  • 浅井鉄夫(岐阜大学)
  • 「麻布大学における産業動物の防疫に関する取り組み、研究および新技術の紹介」
  • 長井 誠(麻布大学)
  • 「北海道大学寄生虫学教室の研究、特にマダニの研究」
  • 中尾 亮(北海道大学)
  • 「豚トロウイルスと豚エンテロウイルスの科を越えた遺伝子組換え」
  • 今井 諒(東京農工大学博士課程)

 シンポジウムは情報共有の観点で重要であり、第3回目シンポジウムは鹿児島大学で行われることが決まっている。