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■短い尾をもつツシマヤマネコをゲノム解析、イエネコとの近年の交雑を示す証拠は認められず

2026-10-22 16:55 掲載 | 前の記事 | 次の記事

アニコム先進医療研究所株式会社は、2026年9月1日、環境省 対馬野生生物保護センター、京都大学 野生動物研究センター、京都市動物園、NPO法人どうぶつたちの病院、麻布大学との共同研究による対馬で確認された「尾の短いツシマヤマネコ」の全ゲノム解析を実施した研究結果を発表した。

その結果、核ゲノム解析では、この個体にイエネコとの近年の交雑を示す証拠は認められず、ミトコンドリアDNAについても、他のツシマヤマネコと同一の型を示しました。また、比較対象とした他のツシマヤマネコ15頭についても、イエネコとの近年の交雑を支持する結果は得られなかった。ネコ科ベンガルヤマネコ属において短尾個体が報告されたのは、把握している限り、今回研究が初めてとのこと。

研究成果は、外見上の特徴のみでは交雑の有無を判断することが難しく、ゲノム情報に基づく検証が有用であることを示すもの。

研究成果をまとめた論文は、「Global Ecology and Conservation」に掲載され、2026年8月5日にオンライン公開された。

短尾がどのような原因で生じたのかは未解明のまま。複数地点で尾に異常のある個体が確認されていることから、先天的・発生的な要因も候補として考えられる。一方、カメラトラップ画像のみでは尾の異常の程度や原因を精密に評価できず、外傷の可能性も否定できない。

今回の研究の手法は近年の交雑の検出には適しているが、より古い時代の交雑や、ごく低頻度の遺伝的寄与を検出することは現時点では技術的に困難である。今後、尾の異常がみられる個体の捕獲・臨床検査・遺伝解析を積み重ねるとともに、糞などから得られるDNAを用いた非侵襲的な遺伝的モニタリング手法の確立を進めることで、個体群の遺伝的健全性をより継続的に把握できると考えられる。

今回の結果は、対馬においてイエネコとの交雑や接触のリスクがないことを意味するものではない。過去には、野生のツシマヤマネコで、イエネコ由来と考えられるネコ免疫不全ウイルス(FIV)への感染が確認されており、感染症の伝播は引き続き保全上の課題である。対馬市の「対馬市ネコ適正飼養条例」では、飼いネコを屋内で飼養するよう努めることに加え、自ら飼養していないネコにみだりに餌や水を与えないことが定められている。こうした適正飼養は、ツシマヤマネコをはじめとする対馬の野生生物を守るうえで、引き続き重要である。