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■JAMLAS研究会が行われる 動物病院の戦いが討論される

2026-09-15 17:02 掲載 ・2026-09-17 09:56 更新 | 前の記事 | 次の記事

白永伸行先生

会場は満員であった。奥の壇上は春日秀文先生

山村穂積先生

日本獣医療倫理研究会(JAMLAS)は、2026年9月13日、東京・新宿京王プラザホテルで、第29回研究会を実施した。テーマは「ぼくたちのたたかい」で以下の発表が行われた。

  • 第29回研究会開催にあたって
  • 会長 白永伸行先生(シラナガ動物病院)
  • 判例に学ぶ
  • 春日秀文先生(JAMLAS顧問、春日法律事務所)
  • 飼い主と裁判事例~裁判を経験した獣医師だから伝えられること~
  • 高橋雅弘先生(高橋ペットクリニック)
  • 口コミとの戦い
  • 鈴木敏之先生(甲賀すずき動物病院)
  • 人材斡旋業者とのたたかい~ある日突然届いた内容証明、そのとは院長は何を思ったか~
  • 牛草貴博先生(12薬局株式会社、酪農学園大学)
  • 夫婦間のたたかい~5例の症例シリーズ検討~
  • 難波信一先生(マーブル動物医療センター)
  • ぼくたちの闘い~455日間、あの日から和解まで~
  • 鈴木正吾先生(21動物病院)
  • 私はこうして切り抜けてきた
  • 山村穂積先生(JAMLAS設立者・初代会長)

まず、会長の白永伸行先生が、「他人の困難を教訓として学ぶ」ために今回のテーマを決め、学ぶにふさわしい事例を獣医療業界第一線の論客に語ってもらうと述べた。また獣医療、病院経営をプロレスに例え、プロレス用語のアングル、スキット、ギミックなどをまじえながら楽しく、受ける、引き出す、出し切るということなどを語った。

春日秀文先生は、以前取り上げた動物病院が訴えられた判例が控訴された例を紹介し、控訴の留意点についても述べた。

  • 控訴期間:判決書の送達日の翌日から2週間(判決はそれ以前に電話で確認できる)。
  • 審理期間:短い。一審の間違いを正すのみで、通常1~2回で終わる。
  • 一審判決に仮執行が付されているとき:
  • 差し押さえを避けるためには強制執行停止の申し立てを。
  • 付帯控訴:相手の控訴に乗じて行うことができる。

そして、なにより証拠としてのカルテの重要性についてもふれた。

高橋雅弘先生は、飼い主に訴えられた例を紹介した。獣医療として問題はなかったと考えられても、訴訟になってしまうことがあるという例であった。裁判には勝訴し訴訟費用も保険でまかなえ、幸い風評被害はなかった。弁護士選びが重要であり、また、訴訟を通じて、診療の際に「大学病院を紹介しますか」と伝えることが必要なのかどうかを迷っていると述べた。

鈴木敏之先生は、Googleマップに掲載される「口コミ」との距離の置き方について述べた。Googleビジネスプロフィールに登録すると、口コミ投稿や評価の通知が寄せられる。それを受け取ることはストレスであり、また病院の正しくない情報が紐づけられることもあり、非表示にした。その方法や影響を報告した。

牛草貴博先生は、実習を行った学生を採用した際の、エージェントとの金銭トラプルを紹介した。エージェントを通じた実習生を受け入れる際は、その契約書をきっちり読むことが重要で、「実習受け入れは採用面接とみなす」という規定など注意すべきことがある。また、トラブルになった際は、採用したスタッフの心理的負担や傷にならないようにすべきであろうと述べた。さらに契約の管理にはAIの活用が有効であると述べた。

難波信一先生は、自身の離婚経験を紹介し、離婚に対する考え方を語った。

鈴木正吾先生は、スタッフを解雇した際に、解雇した当初、当該のスタッフから訴えられた事例を紹介した。最初に解雇のことで書面が届いたが、いざ裁判が始まると、争点は未払いの残業代のことであった。「労働時間」と「病院にいる時間」の解釈の相違であったが、記録として残っているタイムカードの内容がすべてであり、記録がいかに重要であるかを訴えた。お金や時間を失ってしまったが、経営者としての責任に対する視点を学び、仲間も得た。なお、フロアーの弁護士からは、裁判になって中身が変わってくることはあるとの発言があった。

山村穂積先生は半生を語った。山村先生は1962年に日本大学に入学。入学当初から小動物臨床に進むことを決めており、見習いとして動物病院に勤務。そして開業、見習いを行った師匠の動物病院の継承、その病院からさらに、2005年のPet Clinicアニホスの開院の設立へとつながる。床面積1855平米、5階建てのPet Clinicアニホスは、大学入学当初に担任に提出した夢「将来は開業し、地下1階・地上4階建ての動物病院をつくる」を実現したものであった。また診療や病院経営で行ってきた工夫や戦略も語った。動物病院を株式会社としたのもいち早いものであった。学術や社会貢献への取組みも語った。山村先生は米国を放浪されたり、米国で学ばれた時期があるが、人生の節目での旅で得た、感動、肌で感じたこと、旅先での決断・行動、危機管理の経験は、不確実なものを未来に向けて意思決定し実行していくという経営につながるものであったと述べた。また、院長の心のよりどころが必要であるとJAMLASを設立した。

JAMLASは「獣医療における法制度について、獣医療行為や獣医療過誤などの情報交換や問題解決策、および、会員相互の融和親睦を図ること」を目的として設立された。顧問弁護士が所属しており、そのアドバイスを受けたり、獣医師と弁護士の意見交換、交流の場ともなっている。

白永会長は、第47回動物臨床医学会年次大会(2026年10月24日~10月25日、大阪国際会議場/グランキューブ大阪)において、「JAMLASへの勧誘セミナー」の講演(10月24日16:00~17:00)を行うことが決まっており、JAMLASのアピールを行う。