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■愛玩動物看護師のあり方に関する検討報告書 中間報告

2026-04-20 18:30 掲載 | 前の記事 | 次の記事

「検討報告書-獣医療における中間とりまとめ(第2次)」概要

農林水産省は、2026年4月15日、「新たな国家資格としての愛玩動物看護師のあり方に関する検討報告書-獣医療における中間とりまとめ(第2次)」を発表した(農林水産省「新たな国家資格としての愛玩動物看護師のあり方に関する検討報告書」)。農林水産省と環境省の両省で開催している「愛玩動物看護師小委員会」において討議されまとめられたもの。

愛玩動物看護師小委員会は、獣医事審議会免許部会と中央環境審議会動物愛護部会の合同会合で、2025年度は2025年7月11日、12月5日、2026年3月24日に行われた。

直近の3月24日の会合では、委員による報告書の用語の整理などのチェックが行われた他、この検討報告書をいかに社会に認知させていくかについて多くの意見、アイデアがでた。

動物病院の現場では、愛玩動物看護師が行える診療補助の範囲に戸惑いがあるのが現状であるが、座長の西村亮平先生(東京大学名誉教授)は、「(愛玩動物看護師の職業というものについて)ここまで明確にできたのはすごいこと」と、今回の中間報告を評価した。

また、愛玩動物看護師の技量や専門性についての広告について検討していくべきではないとの意見もあった。今までは検討されたことはなく、現状では明確な規制はない。

なお、報告書の内容は引き続き検討が続けられ、「愛玩動物看護師法」の施行から5年となる2028年にまとめられる予定。

発表された中間とりまとめの骨子は以下の通り。

§「検討報告書-獣医療における中間とりまとめ(第2次)」の骨子

1.背景

新たな国家資格である愛玩動物看護師は愛玩動物分野の獣医療のあり方を大きく変えていくもの。

2.愛玩動物看護師の業務と責務について

(1)愛玩動物看護師の地位

愛玩動物看護師法(令和元年法律 50 号)第 2 条第 2 項で位置付け。

(2)疾病にかかり、又は負傷した愛玩動物の世話その他の愛玩動物の看護

「疾病にかかり、又は負傷した愛玩動物の世話」とは、人医療の看護師の療養上の世話にあたるもの。愛玩動物看護師が自律的に判断し専門技術をもって行う、愛玩動物看護師の本来の業務。

「その他の愛玩動物の看護」とは、人医療の保健師、助産師、管理栄養士、介護福祉士等が専門的に行う業務に相当するもの。愛玩動物の保健衛生指導、栄養管理・指導、介護及びその指導、分娩介助・新生子管理などの広義での動物看護業務。

(3)診療の補助

① 診療の補助

診療の補助としての診療行為の範囲は、獣医師の具体的な指示内容の程度、愛玩動物看護師の持つ知識、経験、技術等によって決定。一方で、診断、治療方針の決定、処方、手術、予後判定等の高度な獣医学的判断及び技術が必要な行為については、引き続き獣医師が実施しなければならない。

② 獣医師の指示

「獣医師の指示」は具体的かつ個別に行われることが望ましい。診療行為の内容、愛玩動物の状態、愛玩動物看護師の能力等の事情を斟酌して個別に判断。

(4)愛玩動物看護師の資格と責務

診療の補助は獣医師の判断により愛玩動物看護師に委ねることから、診療に関する最終的な責任は獣医師が負うべきもの。

一方、診療の補助であっても愛玩動物看護師の業務であることに変わりはなく、求められる水準に満たない行為等により愛玩動物の保健衛生や健康に被害が生じた場合には、愛玩動物看護師の責任が問われる可能性がある。さらに、獣医師の指示内容が不明確な場合等には、獣医師に質問・確認する義務がある。

(5)チーム獣医療環境の構築

愛玩動物や飼養者に寄り添った獣医療の提供という指向の中、愛玩動物看護師の体制充実や技能向上等により良質なチーム獣医療環境を整備していくことが重要。

3.良質なチーム獣医療提供体制の整備について

(1)良質なチーム獣医療提供体制の整備

① チーム獣医療とは

愛玩動物診療におけるチーム獣医療は、獣医師、愛玩動物看護師等の獣医療従事者と飼養者が、対等な立場で意見と情報を交換しながら、愛玩動物の治療及び疾病予防を連携して行う獣医療の形態。

② 良質なチーム獣医療提供体制の整備の必要性

愛玩動物看護師と獣医師とが対等な立場で活躍して、高度に進歩・細分化した獣医療技術を効率よく適切に提供し、飼養者に寄り添った獣医療の質の向上を具体的に図る必要。

(2)チーム獣医療における各者の役割

① チーム獣医療における獣医師の役割

チーム獣医療のリーダーであり多職種連携の中心的役割。獣医師の専門性に関する認定取得等、獣医師の専門化、高度化を進めることができる環境作りが重要。

② チーム獣医療における愛玩動物看護師の役割

チーム獣医療の実現において、獣医師と飼養者をつなぐ「要」としての役割が期待。

診療の補助は愛玩動物看護師が担うことができる。

療養上の世話をする上で必要な診療行為については、積極的に愛玩動物看護師に委ねていくこと(獣医師と愛玩動物看護師とのタスク・シフト)が重要。

傷病動物に対する適切な療養上の世話等を施す観点から、その他の獣医療スタッフ(獣医師又は愛玩動物看護師の資格を有さず、愛玩動物診療現場で診療行為以外の業務に従事する者)との十分な連携を確保しながら、院内マニュアル等での役割の共同化(愛玩動物看護師とその他の獣医療スタッフとのタスク・シェア)や動物看護記録の質の向上、動物看護実践の継続性の確保が必要。

③ チーム獣医療における飼養者の役割

チーム獣医療においては飼養者も重要な役割を果たす。飼養者が治療内容や動物用医薬品等への理解を深め、「チーム獣医療の一員」として愛玩動物の治療や予防に積極的かつ適切に参加できるように、愛玩動物看護師が中心となって支援していく必要。

(3)飼養者との信頼関係構築の重要性について

① 愛玩動物や飼養者に寄り添った獣医療の提供

飼養者が安心して治療や飼養管理に参加できる獣医療を提供していくことは、飼養者の獣医療への信頼確保と獣医療安全の確保を図るために重要なことであり、獣医療の質の向上に資する。

② 必要な獣医療へのアクセスが困難な飼養者に対する獣医療サービス

①のうち特に獣医療へのアクセスが困難な飼養者に寄り添った獣医療サービスは、飼養者の QOL(Quality of Life)の維持向上にも重要なことであり、地域社会活動と連携した包括的な獣医療サービスを展開していくことは、獣医師と愛玩動物看護師の社会的地位の向上を実現するもの。

(4)愛玩動物看護師の生涯教育について

① 免許取得後の研修の必要性

愛玩動物看護師は、公的資格を有する専門職として、免許を受けた後も診療現場や教育訓練機関等における訓練や研修を通じて技能向上等に努める必要。体系的な生涯教育を推進する仕組み作りについて、獣医師の臨床研修制度も生かしながら検討していく必要。

② 愛玩動物看護師の専門認定

特定分野の深い知識や経験を持つ専門性の高い愛玩動物看護師の養成や愛玩動物看護師の専門認定制度の構築について、看護師資格認定制度も参考に検討を進めていくことが重要。

おわりに

愛玩動物看護師の自律性と高いモチベーションを実現するための手段、体系的な生涯教育の実施、愛玩動物看護師の処遇改善に資する社会的地位の向上の実現に向けた課題等について、愛玩動物看護師の活動状況等も検証しながら、議論を継続。