HOME >> JVM NEWS 一覧 >> 個別記事
一般社団法人 ペットフード協会の、「2025年全国犬猫飼育実態調査」では、18歳以下における動物とのふれあいが、その後のペットを飼育するかどうかに影響しているとの結果であった。それを裏付ける講演が、12月19日のプレス発表会で行われた。一般社団法人マナーニが行っている小学生と犬とのふれあいの場をつくっている動物介在教育について代表理事 内田友賀さんが「子どもと犬が出合うとき-動物介在教育の社会的意義を考える-」のテーマで紹介した。
活動は「こども笑顔のラインプロジェクト」として、文部科学省・環境省の後援で実施され、全国の小学校、全学年を対象とし、クラス単位で実施し、1クラス5~6頭の介在犬を使っている。年間に15校程度実施し、実施校は144校、参加した児童は9,868名に及んでいる。
授業プログラムは「教材を使って、犬を知る」「犬と触れ合って学ぶ」「学びを整理する」の3つに分けられる。
・教材を使って、犬を知る-座学10分
- 大きさの比較:犬から見た人間を体験して(大きな人の手の模型を使う)、犬の気持ちを想像させる。急に触られた犬の気持ちを体感し、犬を怖がらせないための触り方を児童自ら考える。
- 感情:犬の写真を使って、表情の違いから感情をあることを知る。顔真似をして、「嫌なこと」「嬉しいこと」があるのは、犬も人も同じだと知る。
- 時間:時計を使い人と犬(6倍速)の寿命の違いを体感する。命の短さや尊さを知る。
・犬と触れ合って学ぶ-ふれあい30分
- 自己紹介・得意技:犬の見た目や性格・個性があることを知る。年齢、大きさ、得意技の違いを見て、違いが個性であり素敵なことだと学ぶ。
- 挨拶:匂いを嗅いでもらい仲良くなる。子ども同士の支え合いや譲り合いの心を育む。
- 観察:足や鼻の観察から犬の不思議を発見する。見て、嗅いで、触って知ることで、探求心を生む。
- コミュニケーション:犬の性格に合わせたコミュニケーションで、犬と心が通じる体験をし、さまざまな感情があることに気づく。
・学びを整理する-座学5分
- 心音:人と犬の心音を聞き、同じ命であること、速さや音の違いで、生き物により違いがあることを知る。
- まとめ:学んだことを発表する。犬についてだけでなく、優しさや思いやりなど、心に芽生えた感情を言語化させる。
子どもたちを取り巻く環境は、人との関わりが減り、動物との関わりも減っている状況。コロナ禍の後では、体験や経験不足により「新しいことや知らないことへの恐怖心」が強くなっており、一般社団法人マナーニの調査では、「犬への恐怖心」も増している(2014年~2020年平均8.2%、2021年~2024年24.3%)。
犬への恐怖心があった児童が、授業後に「犬が好きになった」と回答したのは、なんと91%。苦手の克服は、積極性や自己肯定感につながる大切な経験であり、教員も「どの子も満足できるってすごいこと」「優しく声をかけている児童が増えた」「他者と関わる際に欠かすことのできない敬意や繊細さの萌芽を見とれる」「共感力が育まれるきっかけになると感じる」などと授業を評価しており、幼少期にペットと関わりを持つことの重要性が証明されている。
「不登校であったが、4か月ぶりくらいに登校できた」「嫌悪しているものとも関わってみると案外、受け入れられることもある体験ができたのではないか」「犬に対しての恐怖心が克服でき、可愛いという感情に変わった」「いじめや暴力を無くすことにつながるのでは」との保護者の感想が寄せられている。
子どもたちは「犬ってこんなに早く仲良くなれるの、犬が僕のことを信じてくれた」「犬と一緒に心が通じ合うと、優しい気持ちになれるみたいですごい」「犬は温かくないと思ったけど、すごく温かかったからびっくりした」などの感想。
犬へのアレルギーのある児童も触れたがるのだが、他の子が犬とその子の手の間に手を添えて、直接ではないが間接に犬に触れさせるなど、自発的な気遣いも見られた。8割以上の子どもたちは帰宅すると、配布された資料「犬はかせブック」(構成:大人といっしょに読んでね、犬はかせになろう、保護者向け 動物とのふれあいについて)を手に、犬の話を熱心に語った。
45分のプログラムで素晴らしい成果が得られることを、内田さんは熱く語った。
一般社団法人マナーニは、ペットの適正飼養を目的とした「ナチュラルドッグスタイル」(内田さんは設立メンバー)に端を発し、2013年に子どもを対象としたイベントや小学校での動物介在教育を開始した。2017年、内田さんは代表理事就任し、2020年に改組して「一般社団法人マナーニ」となり、活動を動物介在教育に一本化した。一般社団法人マナーニは2026年1月1日に公益社団法人日本愛玩動物協会と事業統合を行うため、残念ながら、一般社団法人マナーニの活動は2025年12月いっぱいで幕を閉じる。今後は、公益社団法人日本愛玩動物協会の事業として活動は継続される。

