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麻布大学、北里大学、日本獣医生命科学大学は、3大学の獣医学・動物生命科学に係る教育・研究資源を効果的に活用し、教育の質向上、地域社会の発展およびグローバル人材の育成に寄与することを目的に、包括連携協定を締結した。
2025年12日8日、締結を呼びかけた麻布大学を会場に締結式が開催された。約1年間にわたり検討を重ね、今回の締結となった。締結式には通信社や新聞社なども取材につめかけ、締結に関する説明、3大学の学長による締結式、ついで懇談会、記者会見が行われた。
出席者は以下の通り。
- 麻布大学:学長 村上 賢先生
副学長 菊水健史先生 - 北里大学:学長 砂塚敏明先生
獣医学部長 岡野昇三先生 - 日本獣医生命科学大学:学長 鈴木浩悦先生
副学長 倉田 修先生
3大学は、人獣共通感染症や産業動物、小動物臨床、人と動物の共生などの分野で、それぞれ独自の強みを有しているが、今回の協定により、それらを融合させ、教育資源の活用、教育連携、研究体制の強化、学生・教職員の交流を促進させる。
DX活用と実践場面で活躍でき、グローバルな視点から協働による問題解決と価値の創造のできる人材育成に取り組み、世界のOne Healthをけん引する高度人材を輩出していく。また、将来的にはアジアにおける獣医学・動物生命科学の拠点形成を目指す。
今回締結した「獣医学・動物生命科学に係る教育・研究の強化による高度人材育成に向けた連携に係る協定書」の連携事業の項目には、以下のことが記載されている。
- (1)教育・研究の連携による高度化及び効率化に関すること。
- (2)学生支援に関する高度化及び効率化に関すること。
- (3)教育・研究・大学運営の改善・向上に資する情報の共有に関すること。
- (4)教育・研究に関する施設・設備の共同利用に関すること。
- (5)ファカルティ・ディベロップメント(FD)及びスタッフ・ディベロップメント(SD)の共同実施に関すること。
- (6)学生の交流に関すること。
- (7)教職員の交流に関すること。
- (8)その他前条の目的を達するために必要な事業に関すること。
事業を推進するために「教育研究推進連絡協議会」が設置され、麻布大学の菊水健史先生がその窓口を務める。
具体的な事業はこれから協議されることになるが、まずはオンデマンドコンテンツの共同制作が行われる予定である。
そのほか、施設の共用が検討されており、懇談会においては、北里大学の八雲牧場、日本獣医生命科学大学の富士アニマルファームなどが話題に上がった。
その他にも、麻布大学キャンパス内に相模原市動物愛護センターを設置する計画があること、北里大学相模原キャンパスに留学生向けの寮が建設されること、北里大学十和田キャンパスの大動物診療センターが今春に新築されること、野生動物医学センターが設置されることなどが話題に出た。
また、日本獣医生命科学大学は田中亜紀先生を中心としてシェルターメディスンに取り組んでいるが、太陽光発電、水の浄化施設を備える自立式、移動式で、簡易の手術も可能なコンテナのシェルター3台が配置されることを紹介した。
麻布大学には企業の寄附講座が3つあり、共同での寄附講座の誘致などにも話は展開した。
国際交流については、北里大学と中国・吉林大学、日本獣医生命科学大学とオーストラリア・クイーンズランド大学のことが紹介された。
動物看護師の養成も話題に上がった。北里大学では来春の入学生より動物資源科学科で愛玩動物看護師養成カリキュラムが開始され、3大学とも動物看護学の教育体制が整うことになる。
少子化が進む中、大学がさらなる充実をはかるために、ライバル校という垣根を取り払い、協同で人材育成と研究の発展に取り組む。

