JVMNEWSロゴ

HOME >> JVM NEWS 一覧 >> 個別記事

■環境省のプロジェクトの一環として「ロイヤルカナンPROactive(プロアクティブ)プログラム」が高知県で実施される

2025-10-10 19:53 掲載 | 前の記事 | 次の記事

ドッグトレーナーの斉藤喜美子氏(左)と高知県中央小動物管理センター長の加志崎 希氏(右)

訓練例

ロイヤルカナン ジャポンは、2025年9月16日、環境省の人と動物の共生パートナーシッププロジェクト「つなぐ絆、つなぐ命」の一環となる「ロイヤルカナンPROactive(プロアクティブ)プログラム」(以下、「PROactiveプログラム」)の全国初の実地訓練を、高知県中央小動物管理センターで行ったと発表した。

ロイヤルカナン ジャポンは、2025年12月に環境省の人と動物の共生パートナーシッププロジェクト「つなぐ絆、つなぐ命」に賛同し、パートナーシップを締結した。これに伴い、「PROactiveプログラム」では、専門家であるドッグトレーナーや犬訓練士による「保護犬の馴化訓練」ならびに「飼育方法のアドバイス」を全国の自治体等に向けてより一層幅広く提供・展開し、動物愛護管理センター内での保護犬の飼養管理の質を高めてもらうことで、その譲渡を促進し、殺処分ゼロに繋げていくことを目指している。

今回の高知県中央小動物管理センターでのトレーニングでは、猟犬タイプの保護犬が対象となった。「PROactiveプログラム」より派遣された斉藤喜美子氏(日本ペットドッグトレーナーズ協会 四国支部所属)は、「保護犬を譲渡したその先を見据えた馴致トレーニングが重要」だと語る。

「猟が盛んな地域に多い猟犬タイプの保護犬たちは、優れた運動能力と体力を持っていますので、譲渡先の環境への順応をどう整えていくかが重要です。それと同時に、飼い主への犬との付き合い方や暮らし方アドバイスをどうしていくかを職員と話し合うことも大切だと考えています」とした上で、「猟犬タイプの保護犬のトレーニングでは、新しい環境、人、場所に慣れさせ、ストレスなく順応させることが重要です。成犬の場合は、人や人間社会への社会化がどこまでできているのかを職員の情報をもとに把握することから始めます。他の犬にフレンドリーか攻撃的か、大人は大丈夫でも子どもに対してはどうかなど、譲渡されてもその先で問題を起こさないよう、とことん情報を集めます。また、若年齢の犬では、家庭犬における甘噛みのような行動が、興奮を伴う噛みになっていることもあります。実際には落ち着いてくることがほとんどなので、そうした犬の習性を職員が飼い主にアドバイスできるよう指導しています」、続けて「猟犬タイプの保護犬たちも家庭犬タイプの犬と同様に、一頭一頭性格も背景も違います。だからこそ、その子の世話をしている職員の希望を聞きながら、譲渡につながりやすい行動の修正を職員自身ができるように指導するほか、センターに関わってくれるボランティアへの指導も職員ができるようにしています」と述べた。

さらに、斉藤トレーナーは「野性味のある犬たちを理解してくれる人を増やし、譲渡が犬にとっても飼い主にとってもクオリティ オブ ライフの向上につながるよう、馴致トレーニングもさることながら、飼い主教育も重要だと考えています。高知県は譲渡後のフォロー教室やアドバイスにも力を入れており、適切な飼い主教育によって、犬本来の習性や付き合い方への理解が向上することにより、まだまだ多くの保護犬たちの譲渡が促進できると信じて取り組んでいます」と述べている。

斉藤トレーナーは、今回対象となった猟犬タイプ5頭それぞれを担当する職員と綿密に日頃の状況を確認しながら、各保護犬の個性に合わせたトレーニングを行った。

高知県中央小動物管理センター・センター長 加志崎 希氏は、「ロイヤルカナンの『PROactiveプログラム』というこの新しい取り組みにより、自治体の保護犬譲渡活動が大きく一歩踏み出せたと思います。これまでは遠慮がちに依頼していたトレーニングでしたが、今では職員とトレーナーのパートナーシップがより強固になったように感じています。また、斉藤トレーナーのように、私たち職員と保護犬の関係性を冷静に判断し、一頭一頭に適したトレーニングや新しいチャレンジを提案してもらえることも発見があり、職員の飼養技能も上がるなど、とても感謝しています」と言い、「今後は、斉藤トレーナーとともに、猟犬タイプの保護犬を求める飼い主さん教育にも取り組んでいきたい」と意気込む。

さらに、加志崎センター長は、「高知の山や森で育った大型犬との共生は、高知ならではの魅力です。四国への移住者も増えている昨今、四国全体で愛犬家の皆さんと一緒に、殺処分ゼロから、保護犬ゼロを実現していければと思っています」と述べている。

高知県は2020年から犬猫共に殺処分ゼロを実現している。一方保護活動においては、昨年は111頭の犬が保護され、62頭が譲渡された。高知県では、狩猟事業や闘犬文化が盛んだった土地柄もあり、保護される犬は猟犬タイプが多いのも特徴。

§訓練例 すのちゃん(雌、約3歳、雑種)

課題は「譲渡に向けてしつけ訓練中、ターンができない」。すのちゃんの状態と性格(人への接し方)を確認しながら、斉藤トレーナーがトリーツを与えるタイミングと犬の目線の誘導の仕方を職員に実際に見せながら教える。トレーナーの手本を真似ながら、職員が行うと上手にできた。すのちゃんも吠えることもなく、落ち着いた様子で嬉しそうに動き回っていた。