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■高度医療の標準化をめざす ロボット手術を取り入れたアニコムグループのJARVISどうぶつ医療センター Tokyoが開院
アニコム先進医療研究所株式会社は、2025年10月1日、ロボット手術含む最先端の高度獣医療を提供する動物病院「JARVISどうぶつ医療センター Tokyo」を開院した。場所は品川駅港南口から徒歩6分のビル。
10月4日には、メディア向けの内覧会、子ども体験見学、ライブロボット手術デモンストレーション、9月11日に発足した一般社団法人獣医AIロボット外科学会の設立記念シンポジウムが行われた。(参考:JVM NEWS2025-09-18「獣医AIロボット外科学会設立 10月4日に設立シンポジウム開催」)
8階建てのビルのすべてはアニコムグループが使用し、1階に1次診療の受付、2階に2次診療の受付がある。手術支援ロボット「Saroa(サロア)」のほか3テスラMRI、320列マルチスライスCT、手術用顕微鏡システム、人工心肺装置、Cアーム型X線透視装置などの最新機器が導入されている。手術室は全7室であるが、2階には6室が並び、全てがガラス張りで廊下から見学ができるようになっており、その様は壮観である。MRI室も磁場シールドのガラスが使用されており、廊下、そして建物外からも見ることができる。5階には公開オペ室がある。
「Saroa」はリバーフィールド株式会社が開発したもので、独自の空気圧駆動技術により力覚フィードバック機能を実現し、従来のロボツトに比べて、術者の力量に頼らずに手術ができる。といっても研修は必要であり、JARVISどうぶつ医療センター Tokyoでは、ロボット手術教育・トレーニング部門を設けている。また、ロボット手術では侵襲が小さくできるとのこと。モニターを見ることで、手術の様子をはっきりと見ることができ、外科教育への効果も高い。
アニコムグループがさらなる開発支援を行っていくが、蓄積されていく「Saroa」を用いた手術のデータは開発に活かされ、さらに手術支援内容が高度になっていくことになる。それだけに留まらず、タスクの自動化、無線での遠隔操作をめざした開発を進めていく。
手術支援ロボットは医療用の認可を得ているが、動物用として農林水産省の認可はまだである。動物用の認可後には、獣医療での普及に取り組む予定。
アニコムホールディングス株式会社 代表取締役 小森伸昭 氏は、記者発表において次のような主旨のことを述べた。
セーフティーネットであるべき医療の商業化が進んでおり、高度医療は残念ながら受ける方が限定されている。また医療の現場は医療従事者の奉仕的な犠牲の上に成り立っている面もある。ペット医療の現場からそれらを改善していきたい。動物へのロボット手術を通じて手術の評価を行い、それをオープンにしていく。人においても犬や猫においても、高年齢化していくということは、どうしても高度医療がさらに必要になるということ。ロボツト医療で、高度で正確な手術を、安価で提供するようにしていきたい。保険とロボット医療とAIの見える化によって、世界中の医療をリードしていきたい。また、アニコムが取り組んでいる口腔内の衛生や食事による腸内環境の影響などを正して免疫機能の低下を防ぎ、できるだけ犬や猫が健康に過ごせる社会にしていきたい。
ビルのフロアーはまだ空いているが、研究施設が入る予定で、ペットホテルの設置も検討されている。また、JARVISどうぶつ医療センターを全国に展開する構想もある。