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日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、2025年7月24日にドイツ本社が発表した、2025年上半期の業績に関する発表を行った(参照:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社「プレスリリース」)。
グループ全体の売上高は、医療用医薬品事業の主力製品である「ジャディアンス」(43億ユーロ)と「オフェブ」(20億ユーロ)の高い需要に牽引され、140億ユーロ(前年同期比6.3%増)となった。
開発段階のHER2遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん治療薬「ゾンゲルチニブ」と肺線維症治療薬「ネランドミラスト」は、いずれも最近のピボタル試験で良好な結果を示し、FDAによる承認が得られた場合、2025年下半期に米国で上市見込み。
HER2遺伝子変異陽性の進行性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する分子標的療法のゾンゲルチニブは、治療歴のある患者において持続的な奏功と臨床的に意義のある結果を示し、70%以上の患者で腫瘍反応が認められた。現在、米国、日本、中国で規制当局による審査が進められており、グローバル第3相試験ではファーストライン治療薬としての有効性も評価されている。ゾンゲルチ二ブは承認が得られた場合、治療歴のあるHER2遺伝子変異陽性の肺がん患者に対する初の経口の分子標的治療オプションとなる。
ネランドミラストは、特発性肺線維症(IPF)および進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)/進行性肺線維症(PPF)の治療薬候補であり、2つの第3相試験(FIBRONEER.試験)において肺機能の低下を有意に抑制する結果が示された。忍容性も良好で、投与中止率はプラセボ群で10.2%に対し、ネランドミラスト9mg群で8.1%、ネランドミラスト18mg群で10.0%であった。現在、米国、EU、中国、日本で規制当局への承認申請が行われている。
2025年上半期、アニマルヘルス事業は成長を遂げ、売上高は26億ユーロ(前年同期比7.6%増)となった。この業績は、寄生虫駆除薬ポートフォリオ、特に「ネクスガード」ブランドの7.9%の成長に牽引された。
ヨーロッパでは、牛と羊のブルータングウイルス3型(BTV-3)に対するワクチンとして新たに上市された「BULTAVO 3」が成長を牽引した。「BULTAVO 3」は、BTV-3による臨床症状の軽減と死亡率低下の効能を持つ初のワクチンであり、既に複数のヨーロッパ諸国で承認を取得している。
また、「VAXXITEK HVT+IBD+H5」の上市によりワクチンポートフォリオを拡充した。このワクチンは、マレック病、感染性ファブリキウス嚢病、H5型鳥インフルエンザを1回の接種で予防できる3価家禽用ワクチンで、2025年初旬にエジプトで初めて上市された。孵化場で直接投与でき、ひなの早期の保護を可能にする。
ペット分野では、Eko Health社と戦略的なデジタルヘルス分野における提携を開始し、犬の心疾患の早期発見率の向上を目指している。このパートナーシップでは、ベーリンガー社の犬の循環器疾患に関する専門知識と、Eko社のAI搭載聴診器技術を組み合わせ、2026年に獣医師向けの専用モバイルアプリの提供開始を目指す。