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■イヌのがんに抗CTLA-4抗体治療が有効 北海道大学らの研究グループ

2025-07-11 14:53 掲載 | 前の記事

北海道大学大学院獣医学研究院の前川直也特任助教、今内 覚教授、大阪公立大学大学院工学研究科の中西 猛准教授、立花太郎教授、東北大学大学院医学系研究科の加藤幸成教授らの研究グループは、2025年5月20日、免疫チェックポイント分子(免疫抑制分子)の1つであるCTLA-4を阻害する抗体薬を開発し、北海道大学動物医療センターにおける臨床研究を行い、進行したイヌの悪性腫瘍に対して抗腫瘍効果が得られることを世界で初めて報告したと発表した(参照:北海道大学「新着情報」)。

抗PD-L1抗体治療に併用する免疫療法薬として、イヌCTLA-4に対する阻害抗体(抗CTLA-4抗体)を新たに開発した。その安全性と有効性を調べるために、北海道大学動物医療センターに来院した悪性腫瘍のイヌ12頭に対して、抗PD-L1抗体との併用として抗CTLA-4抗体を投与する臨床研究を行った。治療を受けた12頭はすべて抗PD-L1抗体単独治療をすでに受け、腫瘍の進行が認められたイヌであった。併用治療を受けたイヌのうち、一部では治療に関連した有害事象が認められたが、悪性腫瘍に対する治療薬として許容可能な範囲と考えられた。また、抗腫瘍効果の評価が可能だった6頭のうち、1頭で腫瘍の退縮が認められた。

イヌ腫瘍に対する新たな免疫療法の実現につながる重要な知見となる。

・掲載論文