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■令和7年度第1回国際獣疫事務局(WOAH)連絡協議会が開催される

2025-06-27 18:55 掲載 ・2025-06-27 19:06 更新 | 前の記事 | 次の記事

農林水産省消費・安全局動物衛生課は、2025年6月20日、「令和7年度第1回国際獣疫事務局(WOAH)連絡協議会」をオンラインで開催した。

同連絡協議会は、国と識者の意見交換と情報共有の場で、例年、WOAHの総会(5月開催)後の6月に総会の報告が、そして12月は半年後のWOAH総会をひかえて、総会での日本の主張内容に関しての討議が行われる。

今回の議題は、①第92回WOAH総会に関する報告、②2025年2月のWOAHコード委員会報告書において提示されたコード改正案等に係る意見交換であった。

WOAHの第92回総会は、5月25日~29日にフランス・パリの化学会館で行われ、131加盟国・地域の関係機関等の1,100名以上が参加した。今回の主な議題は以下の通りで、その概要や日本から提出された意見などが連絡協議会で報告された。

  1. ワクチン・ワクチン接種に関する動物衛生フォーラム
  2. 世界の動物衛生をめぐる状況
  3. ワーキンググループの活動報告
  4. 陸生動物衛生基準委員会(コード委員会)の活動報告
  5. 科学委員会の活動報告
  6. 水生動物衛生基準委員会(水生委員会)の活動報告
  7. 生物基準委員会(ラボラトリー委員会)の活動報告

「ワクチン・ワクチン接種に関する動物衛生フォーラム」は、6セッション(①ワクチンを接種すべきかかべきでないか、②ワクチンの利用可能性、③ワクチンへのアクセス、④ワクチン接種戦略、⑤貿易および社会的受入れ、⑥最終議論)が行われ、WOAH日本代表の沖田賢治先生(農林水産省 動物衛生課長、WOAH理事)が、日本のランピースキン病、豚熱の防疫としてのワクチン接種のことをパネリストとしてセッション④で報告した。

「世界の動物衛生をめぐる状況」では高病原性鳥インフルエンザ、口蹄疫、アフリカ豚熱の疫学分析の報告が行われた。

「ワーキンググループの活動報告」では、野生動物と薬剤耐性の報告が行われた。薬剤耐性の報告の座長を務めた石橋朋子先生は今回で退任され、川西路子先生(動物医薬品検査所)がワーキングメンバーに加わることになった。

「コード委員会の活動報告」の活動報告では、「第7部第1章アニマルウェルフェアの勧告に関する序論」が修正の上採択された。第7部はアニマルウェルフェアの改正が今後も続く見込み。そのほか、7つの項目の新規案、改正案が採択された。牛ウイルス性下痢についても討議されたが、EUからの症例の定義や抗体検出の調査範囲などの疑義もあり、改正案は否決された。

「ラボラトリー委員会」の活動報告のなかで、新たに承認されたリファレンスラボラトリーおよびコラボレーティングセンターが報告された。JRA競走馬総合研究所が馬鼻肺炎のリファレンラボラトリーに承認された。以下の国・研究機関が承認された。

◆リファレンスラボラトリー

  • 十脚目イリデセンド-中国
  • 馬ピロプラズマ-インド
  • 流行性潰瘍症候群(EUS)-インド
  • 馬鼻肺炎-日本・JRA競走馬総合研究所
  • アフリカ豚熱-スペイン

◆コラボレーティングセンター

  • 家畜衛生の高等研修-カナダ
  • ワンヘルス-ケニア
  • 野生動物の貿易および衛生-シンガポール
  • 野生動物衛生のサーベイランスおよび疫学-タイ
  • 野生動物病原体の研究、診断、サーベイランス-米国・カナダ

連絡協議会では、その他、輸出入に適用される措置・手続きに関しての改正案、「疾病制御を目的とした殺処分」の章名を「と畜以外を目的とした殺処分時のアニマルウェルフェア」へ変更し内容を討議していくこと、今後の活動計画などが報告された。

「と畜以外を目的とした殺処分時のアニマルウェルフェア」の内容改正における日本のスタンス「我が国の現状や国際的な情勢を踏まえつつ、アニマルウェルフェアへの配慮と現場における実行可能性等を勘案し、適切に我が国の意見を反映させる」について、「第一優先すべきは、アニマルウェルフェアではないか」との発言がメンバーからあった。

第1回国際獣疫事務局(WOAH)連絡協議会のメンバーは以下の通りで(敬称略)、砂川富正先生が座長を務めた。

  •  飯塚 修(公益社団法人日本動物福祉協会 理事)
  •  磯部 尚(公益社団法人畜産技術協会 国際交流部長)
  •  小田茂樹(一般社団法人ジェネティクス北海道 生産統括部 審査役)
  •  纐纈美千世(特定非営利活動法人 日本消費者連盟 事務局長)
  •  近藤康二(公益社団法人中央畜産会 専務理事/欠席)
  •  境 政人(公益社団法人日本獣医師会 元専務理事/欠席)
  •  塩島 勉(一般社団法人日本食肉加工協会 専務理事)
  •  砂川富正(国立感染症研究所 実地疫学研究センター センター長)
  •  田中美樹(日本生活協同組合連合会 組織推進本部社会・地域活動推進部 部長)
  •  筒井俊之(立命館大学 食マネジメント学部 教授)
  •  寺田 繁(一般社団法人中央酪農会議 事務局長)
  •  村尾芳久(一般社団法人全国スーパーマーケット協会 事務局長)

会議の結果等は、農林水産省Webサイト「WOAH連絡協議会の開催状況」で公表される予定。