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■ガンカモ類の生息調査の速報値が発表される 環境省

2025-06-19 13:43 掲載 | 前の記事 | 次の記事

環境省は、2025年6月9日、第56回ガンカモ類の生息調査(全国一斉調査)結果(速報)を発表した(参照:環境省Webサイト「報道発表資料」)。

原則として2025年1月12日(日)を基準日とした前後1週間にガンカモ類の生息地となっている全国約8,700地点の湖沼等で調査を実施。調査員が双眼鏡等を使用した目視により、ガンカモ類の個体数を種ごとにカウントする。ボランティアを含め調査員は約3,600人となる。各都道府県ごとの集計値を環境省がまとめた。

全地点のうち約6,400地点でガンカモ類が観察され、そのうちハクチョウ類は約650地点、ガン類は約160地点、カモ類は約6,200地点で観察された。全国での観察数は、ハクチョウ類(4種)約7万3,700羽、ガン類(8種)約28万2,900羽、カモ類(32種)約152万6,600羽であり、これらの総数は約188万3,400羽であった。

ハクチョウ類の観察数約7万3,700羽を10年前(2015年)と比較すると、約6%(約4,000羽)増加していた。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2006年の約8万1,500羽から2012年には約5万8,600羽まで減少したものの、以降はおおむね7万羽前後で推移している。都道府県別に見ると、今期の調査では新潟県が約2万600羽、宮城県で約1万5,600羽、岩手県で約6,700羽と観察数が多く、この3県で、全国の観察数の約58%を占めていた。

ガン類の観察数約28万2,900羽を10年前と比較すると、約34%(約7万1,000羽)増加していた。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2020年までは増加傾向にあったが、2021年は大きく減少し、2022年には増加に転じ、2023年には20年間で最大の観察数まで増加した。2021年の観察数の減少は、2020年末からの寒波により、ガン類の主要な渡来地である東北地方の湖沼の凍結や、積雪量の増加などにより、ガン類が分散して飛来し、過年度と比較して観察個体数が減少した可能性が考えられる。ガン類のうち、観察数の多い2種の個体数を前年と比較すると、ガン類の約90%を占めるマガンが約4%(約1万800羽)増加、約5%を占めるヒシクイが約1%(約80羽)増加していた。国際的な保護増殖活動が実施されているシジュウカラガンはガン類の約3%を占め、前年と比較すると約519%(約6,900羽)増加していた。

カモ類の観察数約152万6,600羽を10年前と比較すると、約5%(約7万8,200羽)減少していた。過去20年間の調査結果の推移を見ると、2009年から減少傾向が見られた後、2014~2020年は160万羽程度が維持されていたが、2021年は150万羽を下回り、2022~2025年は増加に転じ160万羽程度となった。観察数が10万羽を超えた県は、茨城県(約13万3,400羽)、千葉県(約13万6,300羽)であった。カモ類のうち観察数の多い上位6種の個体数を前年と比較すると、マガモが約12%、カルガモが約2%、コガモが約4%、オナガガモが約3%、ヒドリガモが約13%、スズガモが約24%、減少していた。

環境省は、ガンカモ類の冬期の生息状況把握のため、各都道府県の協力により、「ガンカモ類の生息調査」を1970年から毎年調査を実施している。

2025年の確定値は8月頃に決まる予定。