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■アフリカ豚熱ウイルスの謎に迫る-アカカワイノシシ由来の新しい細胞株を樹立 農研機構

2024-11-21 16:47 | 前の記事 | 次の記事

アカカワイノシシマクロファージ由来の細胞株を用いたアフリカ豚熱ウイルス研究の展望

アカカワイノシシはアフリカ豚熱ウイルスに感染しても発症しないという特徴がある。農研機構は、横浜市立よこはま動物園の協力を受けて、アフリカ豚熱ウイルスに感染していないアカカワイノシシの血液から免疫細胞の一種であるマクロファージを単離し、長期間増え続ける細胞株を樹立したと、2024年11月19日に発表した(参照:農研機構プレスリリース「アカカワイノシシ由来の新しい細胞株を樹立」)。

この細胞株は、未だ多くの謎に包まれているアフリカ豚熱ウイルスの病原性の解明に利用できるだけでなく、アフリカ豚熱に対するワクチンの開発にも役立つと期待される。

研究の概要は以下の通り。

  • アカカワイノシシの血液からマクロファージを分離
  •  健康診断で採取した貴重なアカカワイノシシの血液からマクロファージを増やし、次いで培養皿への接着特性を利用してマクロファージを選択的に回収した。
  • アカカワイノシシ由来マクロファージの不死化
  •  アカカワイノシシ由来のマクロファージにいくつかの遺伝子を導入して不死化。遺伝子が導入された細胞は少なくとも50回以上分裂が可能であった。この細胞をRZJ/IBM細胞株と名付けた。
  • RZJ/IBM細胞株の特徴
  •  RZJ/IBM細胞株はマクロファージに特徴的なアメーバ様の形態を示し、炎症反応や死菌に対する食作用など、マクロファージとしての機能を有することが確認された。また遺伝子解析の結果から、アカカワイノシシ由来の細胞であることも確かめられた。

§発表論文