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■生研支援センターのスタートアップ支援 今年度の新規採択課題決定

2024-08-22 14:56 | 前の記事 | 次の記事

農研機構生物系特定産業技術研究支援センターは、2024年7月12日、「スタートアップ総合支援プログラム(SBIR支援)」の令和6年度新規採択課題が決定したと発表した。

このプログラムは、農林水産・食品分野における政策的・社会的な課題の解決や新たなビジネス創出に向け、研究開発型スタートアップ等による研究開発およびその成果の事業化を支援するもの。

今回は3つのフェーズ合わせて53課題の応募があり、令和6年度の採択となる19課題が選ばれた。

  • フェーズ 0=発想段階 応募34件、採択15件
  • フェーズ 1=構想段階 応募13件、採択3件
  • フェーズ 2=実用化段階 応募6件、採択1件

獣医畜産に関わる領域では、以下の課題が採択された。

・薬剤耐性菌リスク低減に向けた動物⽤⼈⼯抗菌酵素の研究開発

  • フェーズ0
  • 岡⼭⼤学 内⼭淳平 准教授
  •  抗菌酵素は細菌の細胞壁を破壊し殺菌する抗菌物質であり、抗⽣物質の代替えとしてその社会実装が期待されている。動物⽤抗菌剤市場でのイノベーション創出を⽬指して、データサイエンスおよび合成⽣物学的⼿法を使⽤した⾼機能な⼈⼯抗菌酵素の創出技術およびその⼤量⽣産に向けた技術を開発する。

・豚熱抵抗性ブタ作製のための基盤確⽴事業

  • フェーズ0
  • 株式会社セツロテック
  •  ⽇本では豚熱が発⽣し、最も有効な⼿段のワクチン接種では豚熱蔓延を⽌められていない。豚熱発⽣は莫⼤な経済損失と豚⾁の不安定供給を引き起こすため対策が求められる。既存育種では作出不可能な豚熱感染抵抗性ブタの作出と上市を最終⽬標とし、感染に必要な宿主因⼦の同定および産業化基盤技術を確⽴する。

・ジスルフィドリッチペプチドを培養⾁の⽣産コスト低減に利⽤する研究

  • フェーズ0
  • Veneno Technologies株式会社
  •  アリの毒液中には、動物の成⻑因⼦受容体に⻑時間作⽤するジスルフィドリッチペプチドが含まれている。安定かつ⾼活性な成⻑因⼦様作⽤を持つジスルフィドリッチペプチドを培養⾁の⽣産時の細胞増殖⽤サプリメントとして活⽤することで、培養⾁⽣産の⼤幅なコストダウンを達成するための研究開発を⾏う。

・機能性代替⾁の効率的⽣産を可能にする麹菌アップサイクル培養法の開発

  • フェーズ1
  • 筑波⼤学 萩原⼤祐 准教授
  •  環境危機と⾷料安全保障への対応策として、麹菌バイオマスによる新たな代替⾁素材の開発を進める。培養コストの抑制と資源循環の促進に向けて、酒粕などの⾷品副産物を利⽤した効率的な培養⽅法を検討する。消費者受容性が⾼く健康機能性を有する代替⾁素材を実現させ、新たな消費者の開拓を狙う。