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■牛呼吸器病の適切な抗菌薬をすばやく選択 キットを開発・発売 農研機構 & タカラバイオ株式会社

2024-08-22 14:23 | 前の記事 | 次の記事

従来法と新規法の比較

農研機構とタカラバイオ株式会社は、2024年8月20日、牛に呼吸器病を引き起こすパスツレラ科細菌3種(Mannheimia haemolyticaPasteurella multocidaHistophilus somni)を検出し識別できるキットおよびこれらの菌種の薬剤耐性菌が共通に保有する6種類の薬剤耐性遺伝子を検出し識別できるキットを開発したと発表した(参照:農研機構プレスリリース「牛呼吸器病の原因となるパスツレラ科細菌の薬剤耐性遺伝子を迅速・簡便に検出可能なキットを製品化」)。

マルチプレックスリアルタイムPCRを用いた検査法で、2つのキットを同時に用いることで、従来法では4~5日程度を要していた原因菌の同定および薬剤耐性の判定を最短1日で行うことができるようになる。早期の抗菌剤の選定で、呼吸器病の重篤化による損失の回避と薬剤耐性菌のまん延リスクの低減が期待できる。

2つの検査キット(研究用)は、2024年8月21日にタカラバイオ株式会社から発売された。

牛の呼吸器病は、細菌やウイルスなどさまざまな病原体が複合的に関与する上部気道炎、肺炎などの疾病で、毎年40万件近くの発生があり、その対策は畜産における重要な課題のひとつとなっている。呼吸器病は細菌感染を伴う場合に重篤化・慢性化しやすく、治療対象となった肺炎の8割以上に細菌が関与していることから、治療には抗菌剤が幅広く用いられている。重篤化を防ぐためには原因菌に有効な抗菌剤を早期に投与することが重要であるが、有効薬剤の選択に必要な原因菌の分離・同定と薬剤感受性試験には最短でも4~5日の時間を要す。もし原因菌が薬剤耐性菌であり、その菌への効果が低い薬剤を初期治療に用いた場合、治癒が遅れるばかりでなく、薬剤耐性菌のまん延リスクを高めることにもなり、以降の衛生対策にも影響を及ぼす可能性がある。