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東京大学は、2024年6月25日、同大学の間 陽子先生らの研究グループが、牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)の簡易・迅速ウイルス遺伝子定量法を確立し、その乾燥試薬を世界で初めて開発したことを報じた(参照：東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部 NEWS「全世界に蔓延する牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)から ウシを守る第一歩 －革新的迅速遺伝子診断法BLV-CoCoMo Dual qPCRの液体試薬と乾燥試薬の開発－」)。この診断法は、BLVのlong terminal repeat(LTR)領域と宿主遺伝子(BoLA-DRA遺伝子)をリアルタイムPCR法により同一のウェルで同時に検出した上、細胞数あたりのウイルス遺伝子量を正確に測定可能。

研究グループは東京大学大学院農学生命科学研究科、株式会社ニッポンジーン、兵庫県食肉衛生検査センター 淡路食肉衛生検査所、埼玉県熊谷家畜保健衛生所から構成され、研究成果は「Viruses」に掲載された。

• Development of a dry- and liquid-duplex-reagent mix‑based polymerase chain reaction assay as a novel tool for the rapid and easy quantification of bovine leukemia virus (BLV) proviral loads
• Sonoko Watanuki, Kazuyuki Shoji, Masaki Izawa, Mitsuaki Okami, Yingbao Ye, Aronggaowa Bao, Yulin Liu, Etsuko Saitou, Kimikazu Sugiyama, Michiru Endo, Yasunobu Matsumoto, Yoko Aida
• 投稿受付：2024年5月21日
• 受理：2024年6月14日
• 発行：2024年6月25日
• 掲載：Viruses(Vo.16 Issue 7)

新規診断法は、既存法と同程度の検査精度、分析感度(検出限界)、および診断感度と特異度を示し、既存法と同様にウイルス遺伝子を定量できることが明らかになった。

同研究成果は、検査作業の負担、時間およびコストが軽減されるだけでなく、室温での輸送や保管が可能となることから、全世界に蔓延しているBLVの清浄化対策に大きく貢献できることが期待される。

日本経済新聞電子版も研究成果を同日報じた(参照：日本経済新聞「東大など、牛伝染性リンパ腫ウイルス簡易迅速定量法 BLV-CoCoMo Dual qPCR法とその乾燥試薬の開発に成功」)。

§研究グループ

• 東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻
• 　綿貫園子 氏(博士課程)
• 　叶 穎宝 氏(修士課程)
• 　包 阿荣高娃 氏(博士課程)
• 　劉 宇琳 氏(修士課程)
• 　松本安喜 教授
• 　間 陽子 特任教授
• 株式会社ニッポンジーン
• 　庄司和幸 分子診断試薬部 係長
• 　伊澤真樹 分子診断試薬部 部長
• 　大上光明 診断試薬部 部長
• 兵庫県食肉衛生検査センター淡路食肉衛生検査所
• 　齋藤恵津子 食肉検査専門員
• 埼玉県熊谷家畜保健衛生所
• 　杉山公一 家畜防疫担当 主任
• 　遠藤みちる 家畜防疫担当 技師