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一般社団法人日本農学会は、2024年4月5日、第95回日本農学大会を東京大学弥生講堂で開催した。大会の主行事は、「日本農学賞」の授与式と受賞者講演である。
日本農学会の所属団体(54学会・協会)による推薦者から選ばれた7名が日本農学賞を受賞した。日本農学賞は読売農学賞も兼ねており、大杉 立 会長(東京大学)は、「本賞は日本農学賞として研究の独創性や学術的価値が問われるだけでなく、読売農学賞としての社会的意義も求められ、それらを合わせもった賞である」と冒頭の挨拶で述べた。また読売新聞社編集局科学部長の安田幸一さんは「自然からの生態系サービスがないと持続的社会は成り立たないというのは真実である。これらの研究は、今以上に重要となってくる。読売農学賞として顕彰するのは光栄なこと」と挨拶で述べた。
今回の受賞の一人は日本獣医学会から推薦された東京大学の間 陽子先生で、受賞テーマは「牛伝染性リンパ腫の発症機構の解明と診断・予防法の確立に関する研究」。
受賞者講演は、実家である青森の馬牧場で馬鼻肺炎により馬が亡くなったことがきっかけで「動物の命を救いたい」と獣医師を目指したことから話が始まった。学生時代に口蹄疫の衝撃的なビデオをみてウイルス学への道を進むことに。北海道大学大学院で昨年亡くなった小沼 操先生の指導のもと、牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV、当時の呼称は牛白血病ウイルスレトロウイルス)の研究を始めた。そして理化学研究所分子ウイルス学研究ユニット、東京大学地球規模感染症制御学講座で研究を深めている。BLV発現機構の解明(複製の機構を多岐にわたり解明)、BLVの診断法の開発(日本初の遺伝子診断薬となった新規体内ウイルス定量法を確立)、牛主要組織適合性複合体(BoLA)の解析、BLV感染でのBoLAの重要性の解明、さらに感染牛との混合飼育においてもBLV陽転率を抑制する清浄化戦略を打ち立てることに成功したことなど、数々の業績について述べた。
会場には試験材料を提供された岩手大学名誉教授の岡田幸助先生も駆けつけ、栄えある受賞を祝った。